肝臓
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45 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 佐藤 千史
    2004 年 45 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 坂本 和彦, 大畑 充, 武田 邦彦, 荒木 崇, 上竹 慎一郎, 中島 尚登, 高木 一郎, 法橋 建, 戸田 剛太郎
    2004 年 45 巻 3 号 p. 139-143
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の男性. 1991年にC型慢性肝炎と診断され, 1992年インターフェロン治療により肝機能は正常化した. しかし1996年頃より再びトランスアミナーゼの上昇, IgMの上昇, クリオグロブリン血症の合併を認めた. 1998年1月, 室温約4℃以下の地下室で勤務を行い, 勤務2日目より乏尿, 5日目には著明な全身浮腫を来し入院となった. 画像検査では肝硬変と診断されたが, 血清総蛋白値は正常, アルブミン値は軽度の低下のみであった. また尿蛋白陽性, リウマチ因子陽性, HCV-RNA陽性であったが腎機能障害は認めなかった. 入院後寒冷曝露を避け, 利尿剤の投与で全身浮腫は速やかに消失した. 腎生検では膜性増殖性腎炎の所見を認めた. 本症例の全身浮腫の原因として, 長時間の寒冷曝露によりクリオグロブリンの粘着性が上昇し, 一過性に腎血流障害を誘発し, 寒冷暴露から回避されたことで症状が改善したと推測された. 示唆に富む症例と考え報告する.
  • 山浦 高裕, 六波羅 明紀, 松本 晶博, 吉澤 要, 清澤 研道
    2004 年 45 巻 3 号 p. 144-148
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は30歳, 女性. 妊娠12週目の産科検診にてAST/ALT値正常, HCV抗体陰性であった. 妊娠37週目に全身倦怠感が出現. その際の血液検査にて肝機能障害を認めた. 出産後も肝機能障害が持続し, HCV抗体が陽性であったため, 臨床経過より急性C型肝炎と診断した. 経過観察を行ったが慢性C型肝炎への移行が疑われたため, インターフェロン(IFN)・リバビリン(RBV)併用療法を行い完全著効に至った.
  • 須山 由紀, 鈴木 剛, 高橋 秀和, 西村 秀司, 櫻林 眞, 平野 正憲
    2004 年 45 巻 3 号 p. 149-152
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回我々は mosapride citrate による薬物性肝障害の1例を経験した. 症例は68歳男性, 胃部分切除後の消化管運動促進目的に mosapride citrate を処方されていた. 服用開始後約4カ月目に黄疸を主訴に来院し, 血液検査上PT, APTTの延長を伴う肝酵素の著明な上昇を指摘され, 緊急入院した. 入院後服用を中止したところこれらの数値は徐々に軽快し, 約1カ月後の検査ではいずれもほぼ基準値内にあった. mosapride citrate を被疑薬としたリンパ球幼若化試験 (DLST) にて陽性率255%を認め, 臨床経過との一致から薬物性の肝機能障害と診断した.
    薬物性肝障害は従来アレルギー性のものが臨床上多いとされてきたが, 最近ではその病態は複雑化しており, 適切な診断方法が求められている. 今回我々が用いた滝川らにより提起された新しい薬物性肝障害の診断基準1)によると本症例はスコアは11 (9以上: かなり信憑性あり) であり, その病型は混合型であった.
  • 植木 賢, 前田 佳子, 三村 憲一, 岡本 欣也, 松永 佳子, 川上 万里, 法正 恵子, 岡野 淳一, 前田 直人, 孝田 雅彦, 村 ...
    2004 年 45 巻 3 号 p. 153-159
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は30歳女性. 27歳時ケトアシドーシスを発症し, インスリン依存型糖尿病(IDDM)として加療を行っていたが, 血糖値のコントロールは不良であった. 平成14年7月, 近医にて肝腫大を指摘され, その精査のため当科入院となった. 入院時, 肋骨弓下4横指の肝腫大と肝胆道系酵素の上昇を認めた. 腹部超音波検査では bright liver として描出されたが, CT検査で肝は脾臓よりも高吸収で脂肪肝は否定的であった. 肝生検組織では肝細胞は腫大淡明化し, グリコーゲンの沈着を認めた. 入院後, 厳格な食事療法とインスリン療法により, 肝腫大の縮小とともに肝胆道酵素の改善を認めた. 以上より本症例はIDDMコントロール不良により発症したグリコーゲン沈着肝腫大と診断した.
  • 江川 信一, 浜崎 直樹
    2004 年 45 巻 3 号 p. 160-166
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は64歳女性. 倦怠感, 食欲不振を主訴に近医受診, 肝障害を指摘され当科に紹介入院となった. 入院時, 黄疸, 肝腫大を認めた. 肝生検の所見, 病歴より nonalcoholic steatohepatitis (NASH) と診断. その後頻回の便臭様嘔吐あり, 上部消化管内視鏡, 十二指腸造影を施行し十二指腸結腸瘻を認めた. 十二指腸生検で高分化腺癌の病理所見を得た. 大腸内視鏡でも肝彎曲に2型腫瘍を認め高分化腺癌であったため, 癌性十二指腸結腸瘻と診断した. この癌性十二指腸結腸瘻による栄養障害とNASH発症の関連が推定された.
  • 藤堂 裕彦, 平岡 淳, 徳本 良雄, 古川 慎哉, 阿部 雅則, 日浅 陽一, 道堯 浩二郎, 堀池 典生, 恩地 森一
    2004 年 45 巻 3 号 p. 167-173
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は68歳, 女性. 2型糖尿病加療中. 鬱症状の急激な進行, 脳波異常, Bálint 症候群 ((1)精神性注視麻痺, (2)視覚性運動失調, (3)空間性注視障害の3症状からなる) が見られ, Creutzfeldt-Jakob 病が疑われ当院精神科紹介入院. 頭部MRIでは器質性疾患なし. 入院時採血にて高NH3あり当科紹介受診. NH3のコントロール改善に伴い神経症状改善が見られ, また症状改善に伴い頭部SPECT上も脳血流の改善が見られた. その後の精査にて自己免疫性肝炎(AIH)による肝硬変と診断された. Bálint 症候群は通常広範な両側後頭頭頂葉の障害にて見られる. 肝性脳症に Bálint 症候群を呈することは極めて稀である. 筆者らは Bálint 症候群を呈したAIHによる肝硬変症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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