アルコール性肝炎のうち,重症度スコア(Japan Alcoholic Hepatitis Score, JAS)で中等症・重症例では,禁酒しても肝腫大が持続する例があり予後不良である.2011年度の中等症・重症アルコール性肝炎の全国調査を行い,中等症26例(死亡4例:死亡率15%),重症33例(死亡17例:52%)の報告があった.JASとMELDスコアに相関を認めた.重症の死亡例でCr, PT(INR)が高く,消化管出血,腎不全,DICの合併率が高かった.各治療法の施行率は血漿交換12%,顆粒球吸着療法(GMA)21%,ステロイド投与33%,透析21%と低かったが,生存例のGMA施行率は38%と有意に高かった.ステロイド不応例が11例中5例に認められた.白血球数10,000/μ
l以上でGMA未施行群の死亡率は55%(11/20)に対し,GMA施行群では14%(1/7)と低い傾向にあった.JASで重症の場合,また中等症でもMELDスコア18以上の場合やスコアで3点の項目がある場合などは,合併症が出現する前の早期から,禁酒,肝庇護剤投与以外の集学的治療による介入を考慮する必要がある.
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