-
発症前より経過を観察できたHBV初感染後キャリア化した2症例と,定型的B型急性肝炎2症例の比較
田中 栄司, 今井 康晴, 袖山 健, 吉沢 要, 中村 信, 清沢 研道, 古田 精市, 赤羽 賢浩
1987 年 28 巻 9 号 p.
1143-1148
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
成人期にHBV初感染後キャリア化した2例における血清中HBV-DNAの経時的変化を,発症早期より経過観察が可能であった定型的B型急性肝炎2例のそれと比較し,さらにキャリア化の2例と最近4年間に当教室において経験した定型的B型急性肝炎42例の肝機能検査成績を比較検討した.血清中HBV-DNAの推移は,定型例では肝炎発症早期に一過性に陽性となり以後陰性で持続したのに対し,キャリア化例では肝炎発症早期に陽性であったものがS-GPTのピークと共に一過性に陰性化した後,肝炎回復に伴い再び上昇し以後陽性で持続した.キャリア化例における血清中HBV-DNAの一過性の低下は,生体のウイルスに対する排除反応の結果と考えられ,同様の症例では普遍的に見られる現象であることが予測された.キャリア化例におけるS-GPTおよびTotal Bilirubinの最高値は,定型例42例のものと比較し明らかに低値でありキャリア化例における肝炎は軽症であった.
抄録全体を表示
-
田原 裕文, 広藤 秀雄, 各務 伸一, 坂本 信夫
1987 年 28 巻 9 号 p.
1149-1156
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
B型慢性肝疾患患者18例を主な対象とし,針生検肝組織内HBc抗原・HBe抗原・HLA class I抗原の分布を,モノクロナル抗体を用いた酵素抗体法により検討した.肝内HBe抗原陽性14例中11例は,肝内HBc抗原も陽性であり,両者とも表出を認めた肝組織標本では,その局在も一致していた.即ち,HBc抗原とHBe抗原はともに主に細胞質に存在するが,少数例では細胞質と核に,一部症例では核にのみ局在した.しかし,その局在と病態や炎症の程度または血中HBe抗原の有無とは関連がなかった.一方,血中HBe抗原陽性慢性非活動性肝炎→慢性活動性肝炎→肝硬変へと変化するに従い肝内HBc・HBe抗原陽性細胞数は減少した.血中HBe抗原陽性者より血中HBe抗体陽性者に,また,肝内HBc・HBe抗原の少ない症例にHLAclass I抗原はより多く表出される傾向にあった.以上よりHBV感染肝細胞の排除にHBV関連抗原とともにHLA class I抗原の表出が重要であると考えられた.
抄録全体を表示
-
恩地 森一, 堀池 典生, 広田 俊子, 太田 康幸
1987 年 28 巻 9 号 p.
1157-1163
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
慢性肝炎の経過中に,劇症肝炎に相当する肝不全症状が出現し,1回の急性増悪で,肝硬変に進展する症例の存在を証明した.急性増悪の程度は,T. bilirubin 8.3から50.5mg/dlで,平均26.7±16.3mg/dl, GOT 1,053±943IU/l,ヘパプラスチンテスト10%から23%で平均16±4.7%であった.治療としては血漿交換療法を5例中3例で施行した.急性増悪前,中で,全例IgM型HA抗体陰性で,B型肝炎の3例全例で,HBe抗体陽性にもかかわらず,DNA-pの上昇を認め,δ抗体は陰性であった.急性増悪後の腹腔鏡,肝生検では全例に亜広範性肝壊死を認め,5例中4例で,肝予備能が極度に低下した壊死後性肝硬変に進展していた.また急性増悪後半年以上の経過観察をした3例中2例に,食道静脈瘤の出現を認めた.
抄録全体を表示
-
今井 明彦, 清沢 研道, 山口 孝太郎, 古田 精市, 奥村 伸生, 熊谷 俊子, 金井 正光
1987 年 28 巻 9 号 p.
1164-1171
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
自己免疫性肝疾患における抗セントロメア抗体(ACA)の出現頻度と臨床的意義を検討した.対象はルポイド肝炎16例(I群),原発性胆汁性肝硬変(PBC)22例(II群),肝障害のないシェーグレン症候群(SjS)4例(III群),非自己免疫性慢性肝疾患60例(IV群)である.ACAはI群で2例(12.5%), II群で6例(27.3%)の合計8例に検出されたが,III・IV群には認めなかった.ACA陽性の8例中5例(62.5%)にSjSを合併していたが,CREST症候群の合併はなかった.AMA低力価および陰性のPBCにACA陽性頻度が高く,AMA 160倍以下のPBC 11例中6例の54.5%に検出された.また,ACA陽性群に黄疸例は無く,肝組織学的障害度が比較的軽度であった.ACAはSjS合併の自己免疫性肝疾患に高頻度に出現したが,肝障害のないSjSには検出されなかった.ACAは自己免疫性肝疾患の中のある一群の病態にかかわりのある自己抗体である可能性が示唆された.
抄録全体を表示
-
吉武 正男
1987 年 28 巻 9 号 p.
1172-1178
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
ラット初代培養肝細胞を用いALPの経時的局在の変化を電顕的に観察すると同時に,ALP活性の変化を測定した.また各種胆汁酸を添加し,肝細胞内ALP活性の変化を検討した.電顕的観察では,培養3時間後では細胞間接合部のplasma membraneでのALP活性が強まった.培養12~24時間後では形成された毛細胆管膜と細胞間接合部で強い活性を認めたが非接合部での活性は弱かった.培養48時間になると非接合部の活性も強まり,肝細胞のplasma membrane全周にALPの強い活性を認めた.ALP活性の測定では培養48時間までspontaneousに活性の上昇を認めた,各種胆汁酸添加時のALP活性はtaurocholate (TCA)で最も強い誘導がみられた.またTCAの100~1,000μMの間で濃度依存性にALP活性が上昇した.電顕的観察では胆汁酸添加により,plasma membraneでのALP活性が強まり,特に細胞間接合部や毛細胆管膜での活性が強く観察された.
抄録全体を表示
-
内藤 雄二
1987 年 28 巻 9 号 p.
1179-1187
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
微量の肝組織からアシアロ糖蛋白質リセプター(ASGP-R)を可溶化抽出,定量する方法を確立し,慢性肝疾患患者から肝生検によって得た肝組織のASGP-Rを測定した.
慢性肝炎活動性と肝硬変患者のASGP-R量は正常の52%, 27%にそれぞれ減少し,肝細胞癌癌部においては11例中8例では検出されなかった.一方,慢性肝疾患患者の血清アシアロ糖蛋白質(ASGP)量は疾患の進展とともに増加し,特に肝細胞癌患者では著しく増加しており,ASGP量とASGP-R量の間に有意な負の相関が成立した.この結果から血清ASGP量は肝細胞膜ASGP-R量をよく反映し,ASGP-R量の減少が慢性肝疾患時の高ASGP血症の成因の一つであることを生検肝組織についても証明した.
血清ASGP量は一般肝機能検査のうちとくに肝予備能の指標となる検査と有意の相関が認められた.慢性肝疾患における血清ASGP量の測定は,肝疾患の進展度や肝予備能を評価するうえで有用な検査法であると考えられた.
抄録全体を表示
-
真島 康雄, 田中 正俊, 藤本 隆史, 岩井 一郎, 酒井 輝文, 阿部 正秀, 谷川 久一, 杉原 茂孝, 神代 正道, 中山 和道
1987 年 28 巻 9 号 p.
1188-1195
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
直径2cm以下の肝細胞癌で,肝切除前に経カテーテル肝動脈塞栓術を行わなかった6例の肝切除例において,術前超音波像と病理組織所見との対比を行った.組織学的に完全または不完全な隔壁が5例(83.3%),被膜が4例(66.7%)に認められ,超音波所見と良く一致した.すなわち,超音波像でのseptum in nodule, nodule in noduleの所見は,組織学的な線維性の隔壁や隔壁によって分割された各葉の組織学的形態の相違によって生じることを確認した.septum in nodule像は,線維性隔壁への超音波ビームの入射角の違いで高エコーの,または低エコーの隔壁になるものと考えられた.線維性隔壁は連続切片の得られた1例で検討すと,癌の発育過程で穿破された被膜に由来するものであった.この様に結節型肝癌におけるse-ptum in nodule, nodule in noduleの各US像は細小肝細胞癌の臨床診断上極めて有用な所見である.
抄録全体を表示
-
田中 正俊
1987 年 28 巻 9 号 p.
1196-1201
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術(TAE)が,担癌生体の免疫防御機構に与える影響を検討する為,TAEの前後で患者末梢血NK活性を経時的に測定した.TAE前32.4±12.4% (E/T比40/1)であったNK活性は,TAE後1週間目で24.6±12.2%と有意に低下し,この低下は術後約3週間持続した.次に患者末梢血中のプラスチックシャーレ付着細胞の影響を検討する為,付着細胞を除去するとNK活性が回復する症例が11例中7例(63%)に認められ,付着細胞分画にNK活性に対する抑制活性が存在することが示唆され,TAE後のNK活性の低下の一因と考えられた.さらに付着細胞のNK活性に対する抑制活性はOK432投与により消失した.
抄録全体を表示
-
藤川 正直, 西原 利治, 大西 三朗
1987 年 28 巻 9 号 p.
1202-1210
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
肝細胞癌患者(HCC)においてLymphokine activated killer (LAK)細胞を用いた養子免疫療法の基礎的検討を行ない,1) HCCにおいてLAK活性は低値である,2) Recom-binant interleukin 2 (rIL-2)の全身投与によりLAK活性は増強される,3) LAK活性維持にはLAK活性誘導の際に添加するrIL-2濃度が150ng/ml以上が望ましい,4) LAK細胞の静脈内投与翌日,肝切除標本より採取した腫瘍周囲に浸潤したリンパ球は自己肝癌細胞に対して細胞傷害性に働くことを明らかにした.これらの成績を基に末期HCC 11例にrIL-2 15μg連日投与下に1~10×10
9個のLAK細胞を週1~2回点滴静注による養子免疫療法を施行した.発熱と好酸球増多以外には重篤な副作用を伴うことなく安全に施行が可能であり,血中AFP値は10例中4例で35%以上抑制,腫瘍径の縮小傾向を11例中2例に認めた.従ってLAK細胞を用いた養子免疫療法はHCCに対する集学的治療の一翼として検討に値すると思われた.
抄録全体を表示
-
坂井田 功, 荻野 景規, 岡 紳爾, 松浦 伸二郎, 由村 俊二, 松田 和也, 佐々木 敏行, 山本 一成, 安藤 啓次郎, 福本 陽平 ...
1987 年 28 巻 9 号 p.
1211-1218
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
肝細胞癌患者における血清Cu, Zn-SOD濃度および組織学的局在についてCu, Zn-SODモノクローナル抗体をもちいて検討した.肝細胞癌患者の血清Cu, Zn-SOD値は,健常者,肝硬変患者に比べ有意に上昇していたが,血清GPT, GOT, AFP値との間に相関関係はなかった.これまで,腫瘍部におけるCu, Zn-SOD活性の低下を報告したものは,数多くあるが,われわれの組織学的検討では20%の標本で腫瘍部のCu, Zn-SODは強く染色された.このことは,腫瘍部でCu, Zn-SODが量的に増加していることを示唆しているものと思われる.これらの結果より,Cu, Zn-SODが肝細胞癌において新しい腫瘍マーカーになる可能性と,Adriamycinなどおもに活性酸素により癌細胞を破壊する制癌剤に抵抗する肝細胞癌が存在する根拠となる可能性が示唆された.
抄録全体を表示
-
各種肝胆道疾患時の動態について
川瀬 治通, 北原 敏久, 藤沢 洌, 亀田 治男
1987 年 28 巻 9 号 p.
1219-1225
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
ケノデナキシコール酸(CDCA)の体内動態を明らかにする目的で,重水素標識CDCAを経口投与後,胆汁および血清中の胆汁酸の変化をmass fragmentography法により測定した.健常成人および種々の肝胆道疾患患者についてCDCAのpool size,速度定数,合成率, halflifeをアイソトープ希釈法に基づいて算定し, CDCAの体内動態を解析し検討を行なった.健常成人の胆汁から得られたCDCAのpool sizeは622±172mg,速度定数0.292±0.114,合成率177±69mg/day, half life 2.79±1.13dayで,欧米におけるHofmannやVlahcevicらの成績と良く一致した.さらに血清から得られたCDCAのparameterは胆汁から得られた値と良く一致し,胆汁に比較して採取の容易な血清を試料として胆汁酸の体内動態の速度論的解析が可能であることが明らかになった.この方法を用いて種々の肝胆道疾患におけるCDCAの体内動態を解析し,各病態をよく反映した興味ある成績を得た.
抄録全体を表示
-
小川 真, 森 義雄, 森 照男, 上田 志朗, 吉田 弘道, 加藤 功, 畦元 亮作, 家里 憲二, 若新 洋子, 若新 政史, 奥田 邦 ...
1987 年 28 巻 9 号 p.
1226-1232
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
近交系C57BL/6(B6)マウスに同系肝抗原をFreund's complete adjuvant (FCA)と共に免疫して実験肝炎を発症させた後,大腸菌菌膜成分のlipopoly-saccharide (LPS)を投与し,病態及び肝組織像を検索した.25μgのLPS(正常B6マウスLD
50の約1/20量)1回投与により,48時間以内に約60%が死亡し,生存マウスにも広範な肝壊死と血中GOT, LDH等の増加がみられた.他臓器にはほとんど変化は認められなかった.一方正常B6マウスにFCAのみを投与したコントロールマウスに同量のLPSを投与した群では軽度の肝細胞変性を認めるにとどまった.肝抗原とFCAを1又は2回免疫したマウスにLPS投与を行なっても劇症化は起こらず,予め十分な単核球浸潤を伴う肝炎像の成立している事がLPS投与後の肝障害劇症化に重要と思われた.また肝壊死の発症にはマウス個体差及びstrain差がみられ,肝壊死像はB6マウスに強く,BALB/Cでは循環不全を主体とした変化が認められた.
抄録全体を表示
-
山田 克己, 杉山 幸八郎, 和田 義郎, 溝上 雅史, 山本 恭史
1987 年 28 巻 9 号 p.
1233-1237
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
B型肝炎ウイルス垂直感染が成立しcarrier化したが,HBc抗体の上昇を認めない2歳男児例を報告した.患児は生後7日目にHBs抗原が陽転し,以後HBs抗原,HBe抗原は持続陽性であったが,肝障害は認めなかった.HBc抗体は初期より低値であり,母体よりの移行が少ないことを推察させた.生後11カ月よりHBc抗体は持続陰性となり,IgM型HBc抗体の陽転も経過中認めなかった.母親のHBc抗体もcarrierとしては低値であり,患児のHBc抗体欠如はgeneticな異常の可能性も考えられた.父親は急性B型肝炎の既往があり,HBc抗体の正常反応を認めている.2歳時の免疫能検査では,患児はIgAの低下およびリンパ球subsetにてOKT4およびOKT4/8比の低下以外は正常で,母親は異常を認めなかった.
本症例は,HBV垂直感染あるいは慢性B型肝炎(CHB)発症におけるHBc抗体の働きを推察する上で,貴重と思われた.
抄録全体を表示
-
酒井 正俊, 飯田 三郎, 森下 愛文, 吉田 健, 橋口 治, 赤星 玄夫, 藤仙 重俊, 相良 勝郎, 佐藤 辰男
1987 年 28 巻 9 号 p.
1238-1243
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
市販鎮痛剤の乱用によると考えられる劇症肝炎の39歳女性の1救命例を報告した.20歳頃より生理痛・頭痛のため,ブロム剤を20錠/日服用していた.36歳時,突然頭痛,全身痙攣を来たし,近医にて頭部CT上脳萎縮を指摘された.以後,セデスAを多い時で40錠/日服用するようになった.1週間来の全身倦怠感,頭痛,下痢に気付き,肝障害・prothrombin時間の延長あり,劇症肝炎を疑われ昭和60年8月18日当院に入院した.血漿交換,glucagon・insulin療法により救命し,第26病日の腹腔鏡下肝生検では急性肝炎再生像であった.しかし,第12病日よりJackson型の痙攣が出現し,第80病日の頭部CTで前頭葉の萎縮を認めた.劇症肝炎の成因として,IgM-HBc抗体およびIgM-HA抗体は共に陰性であることより,乱用していた鎮痛薬に含まれるacetaminophenの関与が推測された.脳萎縮はすでに3年前にみられており,稀であるがブロム剤によるものと思われた.
抄録全体を表示
-
中村 桂子, 並木 真生
1987 年 28 巻 9 号 p.
1244-1249
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
肝破裂の多くは,外傷性であり,自然破裂は少数である.自然肝破裂は,妊娠後期に発症するもの,肝細胞癌の破裂によるもの,peliosis hepatisの破綻によるものなどの報告がある.今回,白血病患者において,感染性門脈炎にともない門脈より出血し,900mlの腹腔内出血をきたし死亡した症例を経験したが,自然肝破裂としてこれまでに報告されたことのない様式であるとともに,白血病の転帰としても例外的な症例であるので報告する.各種の悪性腫瘍に対し,放射線治療または,化学療法が行われているが,骨髄抑制状態をひきおこし,本症例のような感染を契機とした,自然肝破裂をきたしうる患者が増加していると考えられる.発症後の治療については困難をきたすが,救命できる可能性も残されており,迅速な診断と治療が必要である.
抄録全体を表示
-
滝川 康裕, 柏原 紀文, 吉田 俊巳, 鈴木 一幸, 佐藤 俊一, 阿部 裕行, 工藤 一顕, 増田 友之, 鈴木 明彦
1987 年 28 巻 9 号 p.
1250-1256
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
妊娠中期に発症した診断困難な肝不全の1例を経験したので,その剖検所見とあわせて報告する.症例は20歳女性,一回経産婦.妊娠21週に感冒様症状で発症し,23週に黄疸を認めた.その後,DICおよび急性肝不全をはじめとする多臓器不全におちいり急速に死の転帰をとったことより,臨床的には急性妊娠性脂肪肝が考えられた.剖検において,肝は出血性梗塞の像を主体としており,急性妊娠性脂肪肝に特徴的とされるmicrovesicular fatは,一部に認められたに過ぎなかった.肝以外の臓器では,腎,肺,副腎,骨髄に多発性に梗塞を認め,腎糸球体,肺,副腎の小血管にフィブリン血栓を認めたことよりDICの所見と考えられた.急性妊娠性脂肪肝やDICの病態にShwartzman反応の関与が論じられているが,本症例はこれらの関連を考えるうえで興味ある症例と思われた.
抄録全体を表示
-
中村 利夫, 末盛 彰一, 松尾 行雄, 舛田 一成, 森石 真吾, 中山 茂, 池本 吉博, 渡辺 恭行, 吉川 正哉, 中西 敏夫, 梶 ...
1987 年 28 巻 9 号 p.
1257-1258
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
岡上 武, 加知 一友, 太田 義治, 太田 正治, 金岡 彦治, 澤 美彦, 香川 恵造, 瀧野 辰郎
1987 年 28 巻 9 号 p.
1259-1260
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
伊東 進, 岩崎 明温, 春藤 譲治, 石原 昭彦, 辻 泰弘, 和田 哲, 清水 一郎, 岸 清一郎, 伊井 邦雄
1987 年 28 巻 9 号 p.
1261-1262
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
三浦 義明, 加藤 章信, 盛合 理, 井上 義博, 柏原 紀文, 鈴木 一幸, 佐藤 俊一, 堀内 三郎, 立石 カヨ子, 浜岡 利之
1987 年 28 巻 9 号 p.
1263-1264
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
非A非B肝炎との比較
中野 雅行, 中沢 功, 弓野 明彦, 高松 正人
1987 年 28 巻 9 号 p.
1265-1266
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
宮川 正人, 前山 史朗, 吉田 秀樹, 河野 誠, 岡部 和彦, 須階 二朗
1987 年 28 巻 9 号 p.
1267-1268
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
岡田 吉博, 日高 宏, 沢田 進, 吉川 雄二, 池田 有成, 戸田 剛太郎, 遠藤 康夫, 岡 博
1987 年 28 巻 9 号 p.
1269-1270
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
熊田 博光, 池田 健次, 荒瀬 康司, 中村 郁夫, 茶山 一彰, 吉場 朗, 小林 万利子
1987 年 28 巻 9 号 p.
1271
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
本村 光明, 尾崎 岩太, 高柳 和弘, 瀬戸口 洋一, 藤井 貞人, 山本 匡介, 堺 隆弘
1987 年 28 巻 9 号 p.
1272
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
河田 則文, 阪上 吉秀, 溝口 靖紘, 久保井 広志, 小林 絢三, 申 東桓, 武田 弘, 木岡 清英, 市川 裕三, 近藤 洋子, 森 ...
1987 年 28 巻 9 号 p.
1273
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
吉田 健, 藤山 重俊, 佐藤 辰男, 水野 喬介
1987 年 28 巻 9 号 p.
1274
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー
-
松田 裕之, 竹原 徹郎, 井川 宣, 東 正祥, 吉岡 博昭, 柏 木徹, 藤田 峻作, 満谷 夏樹, 小泉 岳夫
1987 年 28 巻 9 号 p.
1275
発行日: 1987/09/25
公開日: 2009/07/09
ジャーナル
フリー