黄疸肝およびステロイド投与減黄肝において,肝微小循環動態の変化が,胆管周囲血管叢(peribiliary plexus, PBP)に与える影響とその意義を明らかにするために,実験的胆汁うっ滞肝の微小血管鋳型標本を走査型電子顕微鏡によって観察した.
肝外胆管閉塞型,肝内胆汁うっ滞型黄疸肝にともなう胆管系の障害およびその修復過程において,PBPの径および走行に形態的変化が認められた.
ステロイド投与減黄肝においては,肝内胆汁うっ滞型は,肝外胆管閉塞型に比べてPBPの拡張率が高く,減黄効果が認められた.
その理由として,毛細胆管腔内に胆汁色素の貯留を認める肝内胆汁うっ滞型では,ステロイドの抗炎症,血管拡張作用が,2次的に肝血管抵抗の低下をもたらし肝微小循環血流量を増大させ,その結果,毛細胆管から類洞への胆汁移行が抑制されたものと示唆された.
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