肝臓
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29 巻, 1 号
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  • 吉沢 要, 藪 剛爾, 植村 一幸, 古田 清, 宜保 行雄, 袖山 健, 清沢 研道, 古田 精市
    1988 年 29 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    薬剤性肝障害の診断上,ウイルスマーカーの確立されていない非A非B型ウイルス肝炎との鑑別が問題となる.そこで,薬剤性肝障害と非A非B型ウイルス肝炎の末梢血リンパ球亜分画を測定し,その鑑別診断的意義について検討するとともに薬剤性肝障害例におけるリンパ球刺激試験(LST)の免疫学的機序を解析した.
    薬剤性肝障害では,急性期OKT8陽性細胞の増加によりT4/T8比が低下し,回復期正常化している.それに対し,非A非B型ウイルス肝炎では急性期より正常範囲であった.このことから,T4/T8比の測定により両者の鑑別がある程度可能であると考えられた.
    また,LSTにおいてIa抗原陽性細胞が抗原呈示細胞として,薬剤特異的T細胞の増殖反応に重要な役割を演じていることが示された.
  • 宜保 行雄, 清沢 研道, 古田 清, 中村 信, 植村 一幸, 古田 精市
    1988 年 29 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    過去12年間に発生した非輸血後急性肝炎452例の感染経路に関する検討を行なった結果,非A非B型急性肝炎(NANB-AVH)209例中5症例(2.3%)は血液汚染注射針の刺傷事故後に発症した例であった.これらNANB-AVHの5人とその感染源と考えられる5人について検討を行なった.(1)5例のNANB-AVHの潜伏期は31~51日で,2例に黄疸がみられ,3例はs-GPTの異常が6カ月以上持続した.組織学的には全例急性肝炎の所見を呈した.(2)1例は刺傷事故によりHBVとNANB型肝炎ウイルス(NANB-V)の重感染をうけた可能性が考えられ,HBIGの投与によりHBV感染はブロックされ,NANB-AVHのみ発症した.(3)1例に刺傷事故後,市販のガンマグロブリン製剤を投与したがNANB-AVHを発症した.(4)感染源の5人は全員s-GPTの異常があり,NANB-Vのキャリア状態にあったと考えられた.NANB-Vキャリア血液の汚染針の刺傷事故により,NANB-AVHが発症することを報告した.
  • 広瀬 慎一
    1988 年 29 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    マーモセットにA型肝炎ウイルス(HAV)を接種し,in vivoにおけるHAVの増殖と肝細胞障害の発生機序について検討した.HAVを接種したマーモセットはs-GPTの上昇を示すとともに病理組織学的には急性肝炎の像を呈した.ウイルス学的検索ではHAV接種7日後の肝ホモジネートにHA抗原活性を検出し,この状態は28日まで持続した.一方,糞便中には9日目よりHAVを検出し,量的な変動はあるものの24日目まで検出できた.モノクP一ナル抗体を用いた免疫組織学的検索では14日目の肝細胞質内にHA抗原が染色され,28日目までHA抗原陽性細胞は経時的に増加し,抗原陽性細胞に対してリソパ球・クッパー細胞が接着している像を観察した.全経過を通じ消化管にはHA抗原は検出できず, HAVは肝細胞内で増殖し,肝細胞障害の発生には宿主の免疫学的因子が関与するものと推察した.
  • 近藤 一
    1988 年 29 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    慢性肝炎(CH)患者における末梢血T cellのinterleukin-2 (IL-2)産生能について検討した.健常者に比べ,亜小葉性肝壊死を伴う慢性肝炎(CAH c SN)では,IL-2産生能が有意に亢進していた(p<0.05).経過を追ってIL-2産生能を測定したCH 8例では,寛解期に比べ増悪期にIL-2産生能が有意に増強した(p<0.01). IL-2産生能が亢進したCHでは,5例中3例(60.0%)で,IL-2産生能が低いCHでは,13例中2例(15.4%)で肝細胞の巣状壊死を高度に認めた.
    IL-2産生能は,末梢血OKT4陽性細胞数,OKT4/OKT8比と正の相関を,OKT8陽性細胞数と負の相関を示した.
    以上の成績から,CHでの肝細胞障害機構にはIL-2産生能の亢進が関与していることが示唆された.
  • 児玉 千枝, 溝口 靖紘, 酒井 万千代, 小林 絢三, 森沢 成司, 山田 潤, 山本 祐夫
    1988 年 29 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ガラクトサミンで肝障害を誘導したラットにおいて,血清トランスアミナーゼ活性の上昇に先がけて血中インドール酢酸が増量する.このインドール酢酸が肝細胞由来のものであるか否かを検討するため,分離肝細胞にガラクトサミンおよびトリプトファンを負荷し,肝細胞培養上清中のトリプトファンおよびインドール酢酸を経時的に測定した.その結果,ガラクトサミンおよびトリプトファンを負荷した肝細胞培養上清中にはインドール酢酸が経時的に増加した.
    このことはガラクトサミン肝障害においてトリプトファンからトリプタミンを経てインドール酢酸を形成する代謝経路が肝細胞に存在することを示唆した.
  • 自験69例による解析
    渡辺 悟志
    1988 年 29 巻 1 号 p. 36-46
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    過去19年間に経験した原発性胆汁性肝硬変66例,CAH-PBC mixed type 3例の計69例について,臨床病理学的検討を行なった.PBCの65.1%は中年女性であった.症候性PBCは皮膚掻痒感や黄疸から,無症候性PBCは健康診断を契機に発見される場合が多かった.初診時本症の80%以上の症例に異常をきたした検査項目は赤沈,ALP, IgMであった.また抗糸粒体抗体はPBC以外の肝疾患にはほとんど出現せず本症に比較的特異的に出現する抗体であった.症候性PBCの64.5%が死亡したのに対し,無症候性PBCの死亡は11.4%と少数で,しかも無症候のまま経過している症例が77.1%と大部分であったことから,無症候性PBCの中には症候性PBCとは異なった疾患概念の存在することが推察された.家族調査からPBCの遺伝的関連は余り強くないことが推定された.CAH-PBC mixed typeはその病状進展が速く,従来のPBCとは異なる病態であることが示唆された.
  • 奥田 博明, 中西 敏己, 古川 隆二, 古川 みどり, 小幡 裕
    1988 年 29 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    諸種の肝癌細胞株及びその他の細胞株での異常プロトロンビンPIVKA-IIの産生に関する検討を行なったところ,huH-1, huH-2, PLC/PRF/5, Hep G2, Hep 3Bの5種の肝癌細胞株の培養上清中にPIVKA-IIが検出され,しかも経日的にPIVKA-II値が増加した.またvitamin Kをあらかじめ添加した場合にはいずれもPIVKA-II値が著減した.胃癌由来細胞株のAZ-521及びMKN 7,膵癌由来細胞株のMIAPaCa-2ではその培養上清中にはPIVKA-IIは検出されなかった.以上よりPIVKA-IIは肝癌細胞で産生され,しかもその産生はvitamin Kの存在に左右される事が判明した.
    huH-2を使用して肝癌細胞におけるPIVKA-IIの産生機序に関する検討を行なったところ,プロトロンビン産生に関与する3つの酵素vitamin K-epoxide-reductase, vitamin K-reductase (vitamin K cycle)及びγ-glutamyl-carboxylaseのすべてが働いている事が示唆され,その機序としてはプロトロンビン前駆体の産生亢進にともなうvitamin K cycle及びγ-carboxylation systemの不均衡によるものと推測された.
  • 藤本 隆史
    1988 年 29 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    小肝細胞癌に対する経皮的超音波ガイド下エタノール局注療法についてその抗腫瘍効果の基礎的,臨床的検討を行った.ラットの正常肝,四塩化炭素誘発肝硬変,DAB誘発肝癌に対し,開腹下に純エタノールを局注し,局注直後,3日後,7日後の病理組織像を検討した.直後には三者共に細胞の変性,崩壊所見が,3日および7日後には凝固壊死が見られ,特に肝硬変ではこの変化が隔壁を越えていた.以上より純エタノールの細胞障害効果は確実,即効性で穿刺による腫瘍細胞の播種,転移は起こりにくく,肝細胞癌の被膜内外浸潤部にも有効であると思われた.臨床例では肝細胞癌44症例52結節に同療法を行った.同療法施行前AFP 101ng/ml以上の症例でAFPの著明な低下が,直径3cm以下の16例中14例(88%)に血管造影上tumorstainの消失が,切除組織では4例中2例に100%の癌部の完全壊死が認められた.本療法は小肝細胞癌に対する有効な治療法であると考えられる.
  • 小方 則夫
    1988 年 29 巻 1 号 p. 60-70
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝癌45例の癌組織,および,うち29例の非癌部肝組織におけるHBV DNAの存在様態を,Southern blot hybridization法にて解析した.肝癌組織でのHBV DNAの組み込みは,HBVキャリア群で21例中20例,感染既往群では8例中3例に認めたが,血清HBV関連マーカー陰性群16例では全例検出できなかった.非癌部肝組織における,制限酵素処理試料での組み込み所見の主体は,組織病変が軽度な4例では全例スメア形成,肝硬変の7例ではうち6例でバンド形成であり,また肝癌組織でのそれは,組み込み陽性の23例全例,バンド形成であった.非癌部肝組織において,5例で,また肝癌組織について,2個の独立肝癌結節を有する3例で,採取組織部位毎,また肝癌結節毎に,同一肝内においてもバンド形成パターンが各々異なっていた.
    肝癌発生機構究明にあたり,非癌部肝組織での特殊な肝細胞増生動態,およびこれに及ぼすHBVの役割機構の解明が重要と考える.
  • 杉原 茂孝, 柿添 三郎, 伊藤 裕司, 中島 収, 丸岩 昌文, 神代 正道
    1988 年 29 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌(肝癌)剖検例550例のうち,肉腫様変化を伴う53例(9.6%)の臨床病理学的検討を行なった.肉腫様変化を示した肝癌は近年増加傾向にあり,抗癌剤one shot療法・肝動脈塞栓療法などの積極的療法がその一因と考えられた.臨床的には通常の肝癌と大きく異ならないが,病理所見では肉眼的に浸潤型や肝外発育型が多いことが特徴的で,組織学的に肉腫様部は類洞性増殖を示していた.また,肝外転移が血行性転移81%(p<0.05),リンパ行性転移62%(p<0.01)と通常の肝癌に比べ高頻度で広範囲であった.肉腫様変化の発現機序として以下のことが考えられた.抗癌療法などの結果,癌細胞のphenotypeに変化が起こった.または,heterogeneityを伴う癌細胞のうち肉腫様変化を特徴とするcloneが優位を占めるようになった.
  • 川口 憲二, 三宅 周, 杉山 明, 藤原 雅親, 尾上 公昭, 河野 宏
    1988 年 29 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    B型慢性肝炎例に,両側肺門リンパ節腫脹,および眼のブドウ膜炎をともない,肝生検組織中に肉芽種をみいだし,サルコイドーシスの合併例と診断した症例を経験した.症例は61歳の女性,約12年前に検診で肝障害を,また6年前にHBs抗原陽性を指摘されていた.今回,全身倦怠と眼の差明感が出現,精査入院となった.腹腔鏡検査をおこない,肝表面は斑紋肝,肝生検組織ではCAH2B像を呈し,組織中の1ヵ所に肉芽腫がみられた.慢性B型肝炎経過中でのサ症の合併例の報告はすくなく,まれな症例と考えられたので報告した.
  • 矢野 洋一, 佐田 通夫, 酒井 輝文, 小野 勝之, 鈴木 宏, 村岡 晴雄, 中野 均, 日野 和彦, 吉武 正男, 神代 龍吉, 有高 ...
    1988 年 29 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    HBs抗原陽性血を含む大量の輸血を受け非A非B型およびB型急性肝炎を発症した後,HBV carrier化した成人の1症例を報告した.症例は29歳の女性で,先天性総胆管嚢腫切除術後の大量出血のため,大量の緊急輸血が施行された.輸血後7週目よりトランスアミナーゼ値が一過性に上昇したが,IgM型抗HBc抗体に変化はなかった.続いて輸血後8カ月目に再び一過性にトランスアミナーゼ値が上昇し,同時にIgM型抗HBc抗体価の上昇が見られた.HBs抗原とHBe抗原は輸血直後より2年以上にわたり持続陽性であり,total抗HBc抗体価は漸増している.また本症例は輸血によるHTLV-I感染も疑われた.以上より本症例のHBVcarrier化にはB型肝炎ウイルスと非A非B型肝炎ウイルスまたはHTLV-Iとの重感染が何らかの影響を与えた可能性が示唆された.
  • 藪 剛爾, 清沢 研道, 吉沢 要, 植村 一幸, 長谷 川康久, 緒方 洪之, 古田 精市
    1988 年 29 巻 1 号 p. 86-91
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    OKT4 epitope欠損を認めたB型肝炎ウイルスキャリアおよびその家族についてHBV感染の状態ならびにin vitroでのT細胞増殖反応について検討し,OKT4 epitope欠損者においても,HBs抗原陽性者およびHBs抗体陽性者の両者が存在した.またこれらの症例中のツベルクリン皮膚反応陽性者およびHBs抗体陽性者の末梢血リンパ球のPPD抗原ならびにHBs抗原に対する抗原特異的増殖反応は,OKT4 epitopeを有する正常者と同様の反応を示した.すなわち,OKT4抗原欠損者はヘルパー/インデューサーT細胞リセプター分子上の抗原決定基であるOKT4 epitopeが欠損しているが,HBs抗原およびPPD抗原に対する抗原特異的増殖反応には異常がみられないことより,この反応にはOKT4 epitopeの関与はないことが示唆された.また,この家系から判断するかぎりOKT4欠損症は特定のHLA表現型と連鎖不平衡の関係にはないと思われる.
  • 結城 暢一, 房本 英之, 八嶌 俊, 目連 晴哉, 斉藤 光則, 林 紀夫, 川野 淳, 久保田 真司, 永野 公一, 伏見 博彰, 川野 ...
    1988 年 29 巻 1 号 p. 92-97
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    劇症肝不全で発症した悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は24歳女性で,黄疸・意識障害で入院し,DICおよび急性腎不全を合併し急速な死の転帰をとった.剖検所見では,肝はグリソン鞘を中心に腫瘍細胞が浸潤し,広範性肝細胞壊死が見られた.腹腔・胸腔内リンパ節は腫大し,その組織像よりびまん性多形細胞型悪性リンパ腫(LSG分類)と診断した.臨床上の特徴として,白血球の著明な減少と異型リンパ球の出現,CRP反応強陽性およびLDH・尿酸の著しい高値が見られた.
  • 山本 雅一, 高崎 健, 斎藤 明子, 武藤 晴臣, 磯部 義憲, 済陽 高穂, 田中 精一, 富松 昌彦, 小林 誠一郎, 中野 雅行
    1988 年 29 巻 1 号 p. 98-103
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,男性.主訴は右季肋部痛.6年前に交通事故にて肝外傷の既往あり.来院時超音波検査にて肝右葉内に不均一な高エコーを呈する腫瘤像を認めた.血管造影,CT検査にて肝右葉腫瘤内出血と診断し手術を施行した.開腹所見では肝は非硬変肝で両葉に多発性の柔らかい腫瘤があり右後区域被膜下に血腫を認めた.左葉にも同様病変があったが救命のため右葉切除を施行した.肉眼所見で腫瘤割面は淡黄色,その長径は0.5~8cm,数は十数個で肝内に不規則に散在し,境界部には被膜を認めなかった.組織所見で腫瘤内肝細胞は異型性がなく,多くは2~3層の索状構造を呈し周囲非硬変肝を圧迫しながら増殖した.腫瘤内には門脈域,中心静脈を認めたが大部分の胆管は不明瞭となっていた.以上よりわれわれは本症例を非硬変肝に多発した結節性過形成病変と診断した.肝細胞癌,肝良性腫瘍,腫瘍類似病変との鑑別も問題であり,今後このような病変が集積されることが大切と考えここに報告する.
  • 佐伯 日出貴, 杉本 元信, 相川 勝則, 住野 泰清, 古河 一男, 安部井 徹, 鳥越 義房, 工藤 玄恵, 野中 博子, 佐々木 憲一
    1988 年 29 巻 1 号 p. 104-110
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    症例は58歳の男性.自律神経失調症の診断で約3年間sulpyride 300mgを服用中,肝障害と肝SOLを指摘され,服用中止2カ月後精査入院した.肥満,肝腫大,血清GPTと胆道系酵素の軽度上昇,耐糖能障害あり.US上脂肪肝の所見と肝右葉後上区域(S7)にlow echoicmassを認めた.腫瘤はCT上正常肝と同程度の吸収値を示し,RIシンチでは集積像を示した.血管造影では動脈拡張像,毛細血管相の濃染像,門脈造影の欠損像がみられ,動脈系に富む良性腫瘍,肝focal nodular hyperplasia (FNH)と診断した.S7の区域切除術により6×4.5×4cmの黄色調腫瘤を摘出.割面は顆粒状で,拡張した動脈枝を有する瘢痕部があり,組織学的には不完全な線維性隔壁による小結節形成を認めFNHの確定診断に至った.本症の術前診断は困難とされているが,本例では併存した脂肪肝のために術前診断が可能であった.発生要因としてsulpyrideの関与については明確にし得なかった.
  • 岩佐 隆太郎, 酒井 克治, 木下 博明, 広橋 一裕, 街 保敏, 沖本 俊明, 久保 正二, 鄭 徳豪, 福嶋 康臣, 藤尾 長久, 李 ...
    1988 年 29 巻 1 号 p. 111-116
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    患者は19歳の男性,生来健康で蛋白同化ホルモン剤等の服用歴はない.突然出現した右季肋部痛を主訴として東住吉森本病院に緊急入院した.症状は直ちに軽快したが,精査の結果肝腫瘍が疑われたため,当科へ紹介入院となった.入院時,理学的に異常所見を認めず血液検査上も異常を認めなかった.各種腫瘍マーカーは陰性であった.腹部超音波検査およびCT検査で肝右葉後区域に腫瘍性病変があり,腹部血管造影像上,右肝動脈は上腸間膜動脈より分岐しており,後上亜区域枝領域にhypovascular areaが認められた.リピオドール注入後のCT検査では,同病変にリピオドールの集積は認められなかった.肝生検で肝細胞腺腫と診断されたが,悪性腫瘍も否定し得ないため肝切除を施したところ,切除標本より肝細胞腺腫と確定診断された.術後約1年を経過した現在,再発はみられていない.
  • 清澤 智晴, 石川 詔雄, 田中 栄之介, 河野 真弓, 脇本 佳代子, 深尾 立, 岩崎 洋治, 添田 周吾
    1988 年 29 巻 1 号 p. 117-118
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 福田 一典, 津曲 淳一, 小笠 原幸子, 矢野 博久, 鹿毛 政義, 神代 正道
    1988 年 29 巻 1 号 p. 119-120
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 中島 年和, 中嶋 俊彰, 瀬戸 良文, 島 俊英, 阪本 善邦, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎, 吉崎 和男, 西川 弘恭, 成瀬 昭二, 平 ...
    1988 年 29 巻 1 号 p. 121-122
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 小島 隆, 青山 圭一, 松井 俊二郎, 佐々木 博
    1988 年 29 巻 1 号 p. 123
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 中郡 聡夫, 浅野 武秀, 榎本 和夫, 後藤 剛貞, 剣持 敬, 坂本 薫, 落合 武徳, 磯野 可一
    1988 年 29 巻 1 号 p. 124
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 千葉 俊明, 石川 和克, 渡辺 珠夫, 小番 英裕, 佐藤 俊一
    1988 年 29 巻 1 号 p. 125
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 29 巻 1 号 p. 126-140
    発行日: 1988/01/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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