肝臓
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27 巻, 6 号
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  • 倉井 清彦, 飯野 四郎, 小池 和彦, 遠藤 康夫, 岡 博
    1986 年 27 巻 6 号 p. 707-713
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    B型肝炎ウイルスDNAのpre-S領域の支配を受けているペプタイドに対するモノクローナル抗体を用い,その部分のペプタイドを含むHBs抗原(pre-S抗原)をenzyme immunoassay法により定量的に測定した.対象はHBs抗原キャリアー150例で,うち148例の血清中にpre-S抗原が検出された.各種キャリアー状態でのpre-S抗原価は,無症候性キャリアーではHBe抗原陽性例29,303±25,571単位,HBe抗体陽性例995±1,085単位,慢性肝炎ではHBe抗原陽性例2,637±3,538単位,HBe抗体陽性例1,414±2,684単位,肝硬変ではHBe抗原陽性例1,385±1,988単位,HBe抗体陽性例280±368単位,肝細胞癌例では138±77単位で,HBe抗原陽性無症候性キャリアーでは他群に比し著しい高値を示した.HBs抗原価とは,無症候性キャリアー群でr=0.7497,慢性肝疾患群でr=0.8542と良い相関を認めた.pre-S抗原はB型肝炎ウイルス関連の新しいマーカーとして注目される.
  • 稲垣 豊
    1986 年 27 巻 6 号 p. 714-719
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    細胞成長因子のひとつであるinsulin-like growth factor-I (IGF-I)が肝再生にどのように関与しているかを明らかにするため,部分肝切除施行後のラット血清IGF-I濃度をradioimmunoassay法にて測定した.70%部分肝切除後のラット血清IGF-I値は,術前2.79±0.28pmol/mlに比して12時間後に1.45±0.12pmol/mlと最低になったが,その後肝重量の増加とともに漸増した.また同時に測定したインスリン値はIGF-I同様12時間後に最低となった後増加し,グルカゴン値は6時間後より増加した.IGF-Iとインスリンは極めて類似した血中動態を示し,両者間には有意の正の相関が認められた.対照として用いたsham operation群では,IGF-I,インスリン,グルカゴンのいずれにも有意の変動はみられなかった.以上より,IGFIは部分肝切除後の肝再生に際して,インスリンと同様肝細胞の増殖を促進している可能性が示唆された.
  • 命 孝一, 清水 正賀, 青山 重靖, 司城 博志, 市原 巌, 渡辺 洋, 坂口 正剛, 奥村 恂
    1986 年 27 巻 6 号 p. 720-725
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝組織内にリンパ〓胞様浸潤を伴ったCAH 12例, LC 2例,AH 2例,PBC 3例について,肝凍結切片を作製し単クローン抗体を用いて,peroxidase-antiperoxidase間接ブリッジ法により〓胞様浸潤リンパ球サブセットを解析した.その結果,〓胞様浸潤リンパ球は主にT細胞系であり,特にT-4 (helper/inducer T)細胞が多数認められ,〓胞様浸潤全単核球の44.3%~62.9%を占めた.さらにCAH群で,〓胞様浸潤リンパ球サブセットと,同一組織における非〓胞域や,〓胞様浸潤を伴わない例での門脈域におけるリンパ球サブセットとを比較したところ,〓胞様浸潤内T-4陽性細胞率は他の部位と比較して有意に高値を示した.しかし,〓胞様浸潤内T-4陽性細胞率と血清免疫グロブリン,γ-glob., TTT, K-ICG値等との相関はみられなかった.
  • 森實 敏夫, 土本 寛二, 飯野 朗子, 松村 茂, 斎藤 英胤, 佐藤 逸朗, 熊谷 直樹, 稲垣 恭孝, 土屋 雅春, Thomas B ...
    1986 年 27 巻 6 号 p. 726-735
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    ヒト肝ホモジネート超遠沈上清分画でBALB/cマウスを感作し,マウスmyeloma cell line P3-NS1と脾細胞及びリンパ節細胞をKohler and Milsteinの方法により融合させ,ヒト肝細胞と反応する二つの異なるモノクローナル抗体B2およびH2を産生するハイブリドーマを樹立した.両者共にヒト肝細胞とのみ反応し,対照とした24種の他臓器および家兎,ラット肝とは反応性を有しないことが酵素抗体法で証明された.後者では細胞膜も染色されたが,両者とも対応抗原は種特異性が認められることおよび細胞質に分布することよりMeyer zum BuschenfeldeらのLSPとは異なるヒト肝特異抗原と考えられ,また既知の様々な肝特異抗原ともその性質を異にするものと考えられた.H2およびB2モノクローナル抗体の規定する抗原をそれぞれhuman liver-specific antigen 1および2(略してHLSA1およびHLSA2)と呼ぶことを提唱する.
  • T細胞芽球化補助能と抑制マクロファージ活性について
    山下 善正
    1986 年 27 巻 6 号 p. 736-745
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患患者の末梢血単球の免疫応答機能をしらべる目的で,同一健常人T細胞のPhytohemaggulutinin-Pによる芽球化反応に及ぼす単球の補助能を測定した.単球のT細胞芽球化補助能は健常人に比較し,慢性活動性肝炎,亜小葉性肝壊死を伴う慢性肝炎,肝硬変で有意な低下を認めた(p<0.05, p<0.01, p<0.01).そこで,この低下の原因を解明するため,抑制マクロファージ活性を測定したところ,亜小葉性肝壊死を伴う慢性肝炎,肝硬変で活性が有意に上昇していた(p<0.05, p<0.01).単球のT細胞芽球化補助能低下の一因として抑制マクロファージの関与が示唆された.また単球によるT細胞の芽球化補助能は,副腎皮質ホルモン投与により有意に(p<0.05)抑制されたが,抑制マクロファージ活性は抑制されなかった.慢性肝疾患における細胞性免疫低下に単球マクロファージ系の機能異常が関与していることを明らかにした.
  • 沖野 實, 宮崎 正子, 山本 泰朗, 大西 三朗
    1986 年 27 巻 6 号 p. 746-752
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    PBCの成因は自己免疫症と推定されるが,自己免疫症として最も基本的な条件である胆管上皮に対する液性抗体の証明が見られない.我々はヒト胆汁中より胆管上皮抗原(胆汁抗原)を精製し,本抗原は唾液腺導管,膵管,尿細管との間に共通抗原性が認められることを明らかにした.更に胆管上皮抗原に対する特異的な抗体を作成し,酵素免疫吸着測定法を用いて胆管上皮抗体を含む胆汁抗原・抗体複合物の検出を試みPBCでは68例中20例(29.4%)と最も高率に検出し得た.対照としたルポイド肝炎では3例中0例,SLEでは4例中1例,慢性関節リウマチでは6例中1例,本症でよく合併の見られるSjögren症候群では10例中1例,慢性膵炎では36例中2例において検出された.以上の成績は胆管上皮抗体は免疫複合物中より可成りの率で検出されることを示し,本症が自己免疫症であることを支持する所見と考えられた.
  • 前田 隆, 山本 泰朗, 大西 三朗
    1986 年 27 巻 6 号 p. 753-761
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    AMA亜分画についてはPBCでは極めて高頻度にM2抗体のみが,また類縁疾患である慢性活動性肝炎-原発性胆汁性肝硬変症混合型(CAH-PBC mixed type)ではM2抗体に加えてM4抗体が出現の傾向にあるとされる.今回PBC 26例,定型的なCAH-PBC mixed type 2例を対象に補体結合反応(CFT), Western blotting (WB)により両抗体の出現頻度を検討し,同時にWBを用いて両抗体の対応抗原について検索した.CFTではM2抗体は両疾患とも全例で陽性.M4抗体はPBC 26例中4例,CAH-PBC mixed type 2例中2例で陽性を示した.WBではM2抗体は全例陽性.M4抗体はPBCで26例中7例で陽性,CAH-PBC mixed type 2例中2例で陽性.WBによる検索でM2抗原は単一の抗原でなく分子量72, 67, 59, 57, 56, 52, 45, 42K.D.の対応抗原が種々の頻度で検出された.しかしM4抗原は39K.D.の単一の抗原でありsubmitochondria particlesのtrypsin処理により新しく出現した抗原であるとの結論を得た.
  • 山崎 元, 岡本 英三, 小松 俊憲, 新家 荘平
    1986 年 27 巻 6 号 p. 762-769
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝癌患者の腫瘍特異的免疫能を知る目的で肝癌組織及び肝組織の細胞表面可溶化抽出物(LsEx)に対するリンパ球芽球化反応を調べたところ,LsEx中には強いリンパ球芽球化反応抑制作用が存在し,目的とするin vitro免疫反応が抑制されることがわかった.そこで,この抑制作用を担う物質を同定,除去すべく,ヒト肝ホモジネート抽出物中には肝細胞質由来のarginaseに基づく強いリンパ球芽球化反応抑制作用が存在するとの報告に着目し,LsEx中のarginaseを定量し抑制作用との相関を調べると共に,抑制作用阻止を目的としてarginine添加の抑制作用に及ぼす影響を調べた.その結果,細胞表面抽出物であるLsEx中にもarginaseが混入し抗原非特異的及び特異的リンパ球芽球化反応に対して抑制作用を示すが,この抑制作用は至適量のarginine添加でほぼ完全に阻止できることが判明した.また,ヒト正常肝組織,硬変肝組織及び肝癌組織の細胞表面におけるarginase含有量はそれぞれ異なることが示唆された.
  • とくに細胞骨格とマロリー小体形成の関連について
    渋谷 明隆
    1986 年 27 巻 6 号 p. 770-780
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    マロリー小体(MB)の形成機序を明らかにする目的でgriseofulvin (gf)をマウスに投与し,肝の経時的な光顕的,電顕的検討を行い,同時に0.5% Triton X-100を門脈より灌流し細胞骨格の変化を観察した.光顕的にはgf投与早期より胆汁鬱滞とポルフィリン体の出現を,投与3カ月よりMBの出現をみた.電顕的には毛細胆管の拡張,微絨毛の消失と,毛細胆管周囲のマイクロフィラメントと中間径フィラメントの増加をみたが,微小管の変化は明らかにし得なかった.初期のMBでは細線維と顆粒状構造物が不規則に配列し,周囲にはRER,リボソーム,ゴルジ装置,糸粒体を認めた.中間径フィラメントは細胞質に網目状に分布し,gf投与により著しい増加と集族を認め,MBの細線維との接合を認めたが,両者の形態的移行像は見られなかった.以上より,MBは中間径フィラメントの増加と軌を一にした,gfによる病的keratinizationの結果として出現するものと推定した.
  • 慢性肝疾患における肝血行動態についての検討
    小笠原 久隆, 藤澤 孝一郎, 間瀬 豊, 溝呂木 ふみ, 土屋 崇, 大石 裕代, 柴田 正純, 中田 哲也, 須田 都三男, 永山 和男 ...
    1986 年 27 巻 6 号 p. 781-788
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    正常14例,慢性肝炎11例,肝硬変43例について,dynamic computed tomography (dynamic CT)を施行した.造影剤として65%アミドトリゾ酸メグルミン1ml/kg体重を肘静脈から10秒間で急速注入し,既報の133Xeによる肝動脈・門脈血流分離測定法の成績に基づいて,肝動脈血流入相を示す静注開始より18秒後,門脈血流入相前期の34秒後と中期の50秒後,さらに90秒,120秒後にスキャン時間4.5秒でCTの撮影を行った.関心領域における造影後と造影前のCT値の差で造影剤の濃度を表示し比較した.肝硬変では,34秒後と50秒後における肝実質の造影剤濃度は,それぞれ20.9±5.7, 27.6±5.7H.U.で,正常例の44.8±5.1, 40.8±5.5H.U.と比較して有意(p<0.001)に低値を示し,肝硬変は正常例とは逆に34秒値より50秒値が高い値を示した.また,慢性肝炎ではこれらの中間の値を示した.以上より,肝血行動態に基づいたdynamic CTは,慢性肝疾患の診断ならびに肝血行動態を知る上に役立つと考えられた.
  • 杉田 周次郎, 大西 久仁彦, 斉藤 正明, 野村 文夫, 奥田 邦雄
    1986 年 27 巻 6 号 p. 789-796
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    門脈内へ,非病原性大腸菌及び同菌感作犬血清凝集液を注入し作製した人の特発性門脈圧亢進症類似犬(実験群)の肝血行動態を無処置群(コントロール群)と対比検討した.実験群の肝組織は,種々の程度の門脈域線維増生,門脈の潰れをなし,また異常血管の出現をみた.実験群の門脈圧は,15.8±5.4mmHg,肝内圧は,6.8±2.1mmHgとコントロールに比べ有意の上昇を認めた.門脈血管抵抗は,実験群でコントロール群の約2.7倍に上昇していた.門脈血流量は,実験群でコントロール群に比し約1.5倍に増加していた.これは,実験群でコントロール群に比して唯一重量が増加した脾臓由来の肝血流量の増加と小腸,大腸,大網血流量の増加したことによった.以上より,本実験犬での門脈圧上昇は,類洞前性の門脈血管抵抗の上昇と脾臓,小腸,大腸,大網由来の門脈血流量の増大によるものと考えられた.
  • 西田 修, 森安 史典, 中村 武史, 伴 信之, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫, 武田 保秀
    1986 年 27 巻 6 号 p. 797-801
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    経動脈的バゾプレッシン投与の門脈循環への作用を検討するために,肝硬変3例,肝癌3例,特発性門脈圧亢進症3例,慢性肝炎2例,その他1例の計12例を対象に,バゾブレッシンを持続的に上腸間膜動脈内に注入し,門脈血行動態の変化を検討した.バゾプレッシン注入により,上腸間膜静脈血流は627±213ml/min (mean±S.D.,以下同様)より308±116ml/minに,門脈血流は961±289ml/minより493±94ml/minに,門脈圧は17.8±5.2mmHgより14.7±4.6mmHgに変化し,その変化は,共に統計学的に有意であった.一方,脾静脈血流は523±393ml/minより487±451ml/minと減少したが有意とは言えず,また,症例によっては明らかに増加している症例もみられた.血中酸素含有量の測定でも同様な結果が得られた.バゾプレッシン注入にともない脾静脈血流が増加した症例があり,その意味は重要と思われた.
  • 末永 昌宏, 堀澤 増雅, 中尾 昭公, 野浪 敏明, 原田 明生, 星野 澄人, 市原 透, 森 敏宏, 青木 英明, 朝日 憲治, 岸本 ...
    1986 年 27 巻 6 号 p. 802-809
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    原発性肝細胞癌(HCC)の画像診断上最も重視されるのは血管造影における血管増生所見である.しかし我々は教室において過去6年半に肝切除を行ったHCC症例78例中の4例に,血管増生所見を認めない多中心性発育のHCCを経験した.4例は全て肝硬変が併存したもので,計9個のHCC中7個が血管増生像陰性であり,そのうち6個はN/C比が大の異型性は比較的軽度の細胞が密集した成熟型のHCCであり,1例は脂肪沈着が著しいものであった.これらの組織では密集した細胞により類洞様血管腔が殆んど認められなく,血管造影において造影剤が充分に入り込めず,血管増生所見陰性となったものと考えられた.各症例の複数個のHCCは大部分が成熟型で,また症例毎にその特徴が異なり,且つ門脈内腫瘍塞栓もないことから,多中心性発育であると判断した.
  • 田邊 若子
    1986 年 27 巻 6 号 p. 810-815
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    薬物代謝酵素cytochrome P 450のうち,フェノバルビタールによって酵素誘導されるcytochrome P 450(以下cyt P 450-PB)を,ラット肝ミクロゾームから精製し,これに対する抗体を家兎を用いて作製した.ラットに2-acetylaminofluoreneを投与してえた過形成性結節と肝癌について,cyt P 450-PBの局在を,先の抗体を用いて蛍光抗体間接法で検討したところ,過形成性結節には特異蛍光は認められず,肝細胞癌組織でもごく一部に染色された細胞を認めたものの,全般には非染色領域であった.Epoxide hydraseの局在についても,同様の方法で検討したところ,過形成性結節には強い蛍光を示したが,肝細胞癌では一部の細胞を除き蛍光は認められなかった.これらの薬物代謝酵素の相反する変化が,単に癌化によるフェノタイプの変化にもとづくのか,発癌剤という化学物質の代謝に関連したものか,癌化を解明する上で重要な課題であることが示唆された.
  • 國土 典宏, 三條 健昌, 梅北 信孝, 高橋 周二, 伊藤 徹, 川崎 誠治, 柴山 和夫, 針原 康, 小山 広人, 坂本 裕彦, 出月 ...
    1986 年 27 巻 6 号 p. 816-821
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    著明な低酸素血症をきたし肺内動静脈シャントの存在が大きく関与していると考えられた肝硬変症の1例を報告する.症例は60歳男性.大酒家で55歳頃より労作時の息切れを感じていた.56歳で吐血.発赤所見(+)の食道静脈瘤を認めたが肝機能不良で低酸素血症も見られたため内視鏡的硬化療法を施行した.昭和60年1月19日静脈瘤増悪のため当科に再入院した.入院時チアノーゼが著明でバチ状指をみとめ,息切れのため10m以上の連続歩行が不能であった.大気吸入時動脈血酸素分圧は47mmHg,肺生理学的シャント率(Qs/QT)は20.1%であった.心奇型はなく,99mTc-MAAによる肺血流シンチグラムでは脾,腎,甲状腺,脳に取り込みが見られ,肺内の右→左シャントの存在が考えられた.シャント率は57%と算出された.2月6日,14日に内視鏡的硬化療法を施行した.2月19日退院後,低酸素血症による日常生活の制限はかなり強いが保存的に経過観察中である.
  • 佐藤 仁志, 矢崎 康幸, 鈴木 貴久, 高橋 篤, 関谷 千尋, 並木 正義
    1986 年 27 巻 6 号 p. 822-828
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変(PBC)の経過観察中,多発性筋炎(PM)を合併した1例について報告する.症例は58歳男性.昭和56年12月人間ドックではじめで肝機能異常を指摘され昭和57年2月当科へ紹介入院となり,PBCの診断を得て外来で経過を観察していた.昭和58年冬から軽度の全身倦怠感が,また同年夏頃より四肢の脱力感が出現し持続したが日常生活に支障はなかった.昭和59年11月,当科外来を受診し四肢近位筋主体の筋萎縮とCPKの著増を認めたため再入院した.入院後の筋生検などからPMと診断し,Prednisolone 45mg/日の投与を開始したところ,よく治療に反応しCPK値の正常化および肝機能検査値の一部改善をみた.PBCとPMの合併は本症例が本邦3例目であり,外国文献にもその報告はわずかしかないが,PBCの自己免疫機序との関連においても興味深く,また潜在する同様の症例をひろい上げる意味からも示唆に富む症例と思う.
  • 椎名 秀一朗, 武藤 弘行, 伊藤 泰昭, 田川 一海, 鵜沼 直雄, 大森 友幸, 鈴木 征子, 津田 文男
    1986 年 27 巻 6 号 p. 829-830
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 免疫電顕による検討
    小島 隆, 青山 圭一, 松井 俊二郎, 佐々木 博
    1986 年 27 巻 6 号 p. 831-832
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 丸山 俊博, 中村 東樹, 林 克裕, 重平 正文, 北村 亨, 津田 和矩
    1986 年 27 巻 6 号 p. 833
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 岡本 康幸, 藤森 由佳子, 辻井 正, 中野 博
    1986 年 27 巻 6 号 p. 834
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 大西 真, 石川 隆, 中釜 斉, 油谷 浩幸, 井廻 道夫, 高久 史麿, 福里 利夫, 志賀 淳治
    1986 年 27 巻 6 号 p. 835
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 川崎 寛中, 上桝 次郎, 山本 哲夫, 前田 直人, 平山 千里, 小林 岳丸, 桜井 兵一郎
    1986 年 27 巻 6 号 p. 836
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 大元 謙治, 山本 晋一郎, 福嶋 啓祐, 井手口 清治, 山本 亮輔, 日野 一成, 大海 庸世, 古城 研二, 平野 寛
    1986 年 27 巻 6 号 p. 837
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 高原 照美, 小島 隆, 宮林 千春, 窪田 芳樹, 松井 俊二郎, 井上 恭一, 佐々木 博, 大島 章
    1986 年 27 巻 6 号 p. 838
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 27 巻 6 号 p. 839-871
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
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