円筒型黒体炉(その内径を1,長さを
lとする)において,その壁面(輻射能はε
α)が完全拡散面で,且つ一様な温度を保つときは,底に関する実効輻射能は,次のようにして求めることができる.
4.1 計算式A.絞り開放
底の実効輻射能をε
α+ε
α'とすれば
ε
α+ε
α'=1-(ε
1"+ε
1''')の関係が成立つ.この右辺をそれぞれ
ε
1"=〓(1-ε
α)·
F0(
l)
F0(
l)=
l2+2-〓
および
〓
の式を使つて計算することによりε
α+ε
α'は直ちに求められる.(Fig.3参照)
B.絞りの半径
pのばあい底の実効輻射能は
ε
α+ε
α'+ε
α"+ε
α'''
で表わされる.つまり開放での実効輻射能ε
α+ε
α'にε
α"+ε
α'''をつけ加えるだけでよい.これらの値は,それそれ
〓ここに
k=1-
p2,〓および〓で与えられる.(Fig.4 参照)
4.2 数値例l=1, 2, ••••, 10まで,
ε
α=0.25, 0.5, 0.75の各種のばあいについて,それぞれ絞り開放(
p=1)および
p=0.5に絞つたときの,底の黒さを,完全黒体からはずれる程度をあらわすδ
0, δ
pを使つて求めておいた.その結果を
Table 1に示す.
同表には,このほか
F0(
l),
Q0(
l),
Fp(
l)の計算結果も並記してある.なお,
Q0(
l)は
l=10までを10等分し,その間では直線,つまり勾配は一定であるとみなして求めたものである.
また
Table 2には,これまで既に発表された実効輻射能を求める計算式を使つて求めたδ
0, δ
pを参考までに記載してある.
以上の値をまとめて,グラフ上にプロットすると
Fig. 5~10がえられる.
以上の考察および計算から結論できることは,ε
αが小さければ,精密解でえられる黒さには達しないが,実際使用される黒体炉の材料では,充分ε
αが大きいものを撰ぶので,このときには安心してこの近似計算法によつて黒さを調べてよいということである.
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