応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
74 巻, 10 号
『応用物理』 第74巻 第10号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
研究紹介
  • −顕微観察をめざして−
    山内 泰, 倉橋 光紀, 鈴木 拓
    2005 年 74 巻 10 号 p. 1345-1350
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    低速スピン偏極準安定He (23S1)原子線を用いた最表面電子のスピン偏極分光は,磁性表面でのスピン偏極の振る舞いを解明する有力な研究手段として用いられているが,最近では,さらに微細構造がスピン偏極に及ぼす影響を検討するために,顕微観察の必要性が増している.われわれは6極磁子を用いて低速He (23S1)原子線を集束すると同時にスピン偏極する技術やスピン反転器の開発を行い,磁性体最表面のスピン偏極二次元走査像を撮ることができた.現状でも顕微観察の基本機能を備えており,視野内で厚みや被覆率を傾斜させた薄膜や吸着系の精密なスピン偏極分光へ応用することができる.今後,投射型拡大系との組み合わせによって高分解能顕微観察が可能である.

  • 宗像 利明
    2005 年 74 巻 10 号 p. 1351-1354
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    表面での反応性や機能性を理解することを目的に,著者はこれまで,2光子光電子分光法による吸着分子の非占有準位測定を試みてきたが,今回,高温超伝導体の非占有準位の測定を試みた.観測されたバンドの帰属などに課題が残るが,この手法の有効性を示すことができた.また,光を絞ることで,表面微少域の非占有準位の分光測定と,顕微画像測定を可能にした.銅多結晶表面での非占有鏡像準位の測定を報告する.

  • 松下 大介, 村岡 浩一, 中崎 靖, 加藤 弘一, 犬宮 誠治, 高柳 万里子, 江口 和弘
    2005 年 74 巻 10 号 p. 1355-1358
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    われわれは次世代CMOS(相補型金属酸化膜半導体)用として,世界最薄かつ最小のリーク電流特性をもつゲート酸窒化膜(SiON膜)を開発した.従来のシリコン窒化膜(Si3N4 膜)をただ酸化するだけの方法では,Si3N4 膜の耐酸化性の低さのために,SiON膜中での高い膜中窒素濃度と高い界面酸素濃度の両立が困難であったが,われわれはSi3N4 膜結合への深い理解に基づき,結合状態と膜形状を改善し耐酸化性を向上させる新しいプロセスを開発し,この問題を解決した.これにより,シリコン酸化膜(SiO2 膜)換算膜厚が0.7nm,リーク電流が95A/cm2 と従来の1/10以下,SiO2 膜比で89%の高い移動度,そしてボロン突き抜けによるしきい値電圧シフトを極限(0.04V)まで抑えた極薄ゲートSiON膜を実現した.

  • 塚崎 敦, 大友 明, 川崎 雅司
    2005 年 74 巻 10 号 p. 1359-1364
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    III族窒化物LEDの需要が伸びるにつれて,紫外発光素子の実現に向けて酸化亜鉛(ZnO)の優れた特性が見直されてきた.ZnOを用いた発光素子として,励起子の再結合による低しきい値レーザーおよび豊富な資源や単結晶基板などを生かした安価で環境負荷の少ない白色LEDが期待されている.最近,筆者らは再現性の高いp型薄膜作製技術を開発し,電流注入による青色発光の観測に成功した.この成功の背景には,高温アニール自己バッファ層技術や反復温度変調法の開発という結晶成長のブレークスルーがあった.本稿では,これらの技術を紹介するとともに,実用化に向けて歩み出したZnO発光素子の未来を展望する.

  • 早川 泰弘
    2005 年 74 巻 10 号 p. 1365-1369
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    高松塚古墳やキトラ古墳の保存に関するニュースがマスコミに大きく取り上げられているが,さまざまな文化財の材質や彩色の調査がどのように行われているのかは,あまりよく知られていない.近年,可搬型の調査機器がいくつか開発され,歴史的・美術史的な新発見も次々と得られている.本報では,国宝の絵画3点―源氏物語絵巻,紅白梅図,高松塚古墳壁画―を対象に,近年開発されたポータブル蛍光X線分析装置を用いて行った材質調査の結果を報告する.

基礎講座
  • 野島 博
    2005 年 74 巻 10 号 p. 1371-1378
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    RNA診断は,DNA診断によって生じるであろうゲノム倫理問題を起こさないという意味で有用である.われわれは段階的サブトラクション法の開発に成功した.この技術によれば,ある細胞で特異的に発現している遺伝子がすべて包括的に単離できる.この技術の応用として,健常人血液細胞あるいは自己免疫疾患患者の血液細胞に特異的に発現している遺伝子をすべて単離した.これら発現特化型cDNAマイクロアレイとして貼り付けたDNAチップを作製し,これを用いたRNA血液診断法(例えば自己免疫疾患を対象とした)の構築を目指している.さらに,これら遺伝子は治療のためのゲノム創薬の標的としても有用である.

  • 福永 敏明, 早川 利郎
    2005 年 74 巻 10 号 p. 1379-1383
    発行日: 2005/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    波長780〜980nmの短距離の通信用や光ファイバーアンプの励起用,光メモリー用の光源としてGaAs基板上に成長されるAlGaAs系やGaInAsP系材料が用いられる.この材料系では,発光時の端面破壊が素子寿命の支配要因になるなどの特徴をもつ.端面破壊を防止するには活性層の光密度低減や端面パッシベーションが重要となる.本稿では,量子井戸構造半導体レーザーの高出力・高信頼性化のデバイス設計ならびに端面処理プロセス技術の現状を紹介する.

feedback
Top