応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
75 巻, 10 号
『応用物理』 第75巻 第10号
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巻頭言
「世界物理年」記念記事
企画の意図
解説
  • −極性・非極性の観点から−
    松井 裕章, 田畑 仁
    2006 年 75 巻 10 号 p. 1211-1217
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    酸化物人工格子に代表される原子・分子層スケールでの結晶成長制御は,誘電性や磁気特性を人工的に設計・構築することを可能にする.本稿では,これまでに培われた酸化物のエピタキシー技術を酸化亜鉛(ZnO)に適用した例を紹介する.ワイドギャップ半導体であるZnOは,光学・電気・磁気的特性において多彩な魅力ある性質を有し,さらに表面ナノ構造およびへテロ量子構造を形成することで,新機能の発現が期待できる.ここでは,ZnOの極性・非極性成長と表面形態(ナノ構造)の相関性,ヘテロ界面での成長モードと量子井戸構造の構築,およびスピントロニクスを目指したCo添加に伴う磁気特性制御について紹介する.

  • 南 内嗣
    2006 年 75 巻 10 号 p. 1218-1223
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    Indium -Tin -Oxide (ITO)の代替材料として期待されている,AlもしくはGa添加ZnO (AZOもしくはGZO)などのZnO系透明導電膜に関する研究開発の現状と将来展望を述べる.基本的特性の詳細および成膜技術の進展を解説する.特に,液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ用透明電極においての本格的な採用に対する問題点とその解決法,および残された課題を述べる.直流マグネトロンスパッタリング法で作製するZnO系透明導電膜における抵抗率分布の改善および低抵抗率化が,可能な新規な高速成膜技術を紹介する.

  • 中島 信一, 三谷 武志, 吉川 正信
    2006 年 75 巻 10 号 p. 1224-1231
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    半導体結晶内に発生するひずみはデバイスの特性不良,劣化を引き起こす原因として,その除去,回避に関心が向けられてきたが,最近ではひずみを積極的に利用して高速動作素子を作製しようとする動きも出てきた.このひずみを制御するには,精密なひずみ計測技術を確立することが求められている.本稿では,ひずみ解析の手法の一つとして,局所評価が可能な顕微ラマン散乱分光法を取り上げ,測定原理・測定手法・検出精度について解説する.また,グローバルなひずみに加えて,デバイス構造に付随する局所的なひずみの評価にラマン散乱分光法を適用した例を紹介し,将来のラマン評価技術の展開について述べる.

  • 粕谷 厚生
    2006 年 75 巻 10 号 p. 1232-1238
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    固体の性質は数nmまで小さくしてもバルクとそれほど違わないが,1nm台に入ると様相は大きく変わる.構成原子1個の増減で安定な構造と物性が一変してしまうような,著しいサイズないし形状効果が現れる.最近,実用性の高いII-VI族半導体化合物の一つであるCdSeについて,原子数nまで正確にそろえた1nm台の(CdSe)13,(CdSe)33,(CdSe)34,を溶液法で作製できることがわかった.この分子的な1nm台ナノ粒子の実験結果を紹介しつつ,ナノ構造体として最も特徴的な性質と応用の可能性について展望する.

最近の展望
  • 天明 二郎
    2006 年 75 巻 10 号 p. 1239-1242
    発行日: 2006/10/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    酸化物半導体ZnOは,直接遷移半導体で室温でのバンドギャップエネルギーが3.3eV,励起子結合エネルギーが60meVと他の半導体に比べ著しく大きいところから発光素子材料としてのポテンシャルを秘めている.さらに,資源,環境問題へのリスクも小さいことが予想され,最近新しい発光材料として非常に注目されている.特に,ナノ構造を導入できれば,励起子効果が増強され,これまでにない高効率な固体光源への展開が期待できる.従来,PLD(pulse laser deposition)法を中心にZnO系薄膜成長の検討が行われてきている.しかし,その混晶のバンドギャップ・エンジニアリングに十分成功していない,デバイス・クオリティのZnO薄膜が得られていない,p型伝導性制御が困難などの大きな課題を抱えていた.われわれは,ラジカルを利用するリモートプラズマ励起有機金属気相堆積(RPE -MOCVD)法を用いることで初めてこれらの問題を解決できる見通しを得つつある.最近,ZnO系ヘテロ接合を実現し,可視域全域でのエレクトロルミネッセンス発光に成功した.新しい酸化物半導体ナノフォトニクスへの新展開が期待される.

研究紹介
基礎講座
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