応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
90 巻 , 6 号
『応用物理』 第90巻 第6号
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Science As Art
今月号の概要
解説
  • 江藤 剛治
    2021 年 90 巻 6 号 p. 332-338
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2021/06/05
    ジャーナル フリー

    現在世界最速のイメージセンサの時間分解能は10ns程度である.1991年に開発した4500枚/秒のビデオカメラに対して撮影速度は2万倍以上になった.一方,シリコンイメージセンサの理論的限界時間分解能は11.1psであり,さらに1千倍の開発余地がある.シリコンの限界を超えるスーパー時間分解撮影(Super-Temporal-Resolution imaging: STR imaging)についてはホログラフィやストリークカメラを利用した工夫に富んだ技術が報告されている.しかしもしイメージセンサによるSTR撮影が実現すると,その高い利便性と広い適用性により映像計測技術に変革を起こす.このためにはシリコン以外の材料でフォトダイオードを形成する必要がある.例えばゲルマニウムの可視光吸収率はシリコンの数十倍でフォトダイオードの厚さは数十分の1になるから,原理的にはシリコンの数十倍速いSTRイメージセンサができる.本稿ではまずイメージセンサ以外のSTR撮影技術について紹介する.次にゲルマニウムを例としてSTRイメージセンサ開発の可能性と課題について報告する.

  • 増田 淳
    2021 年 90 巻 6 号 p. 339-345
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2021/06/05
    ジャーナル フリー

    屋外で曝露(ばくろ)される太陽電池モジュールにはさまざまな負荷が複合して与えられ,その結果,発電性能低下が生じる.劣化現象は複雑であるものの,劣化要因は遮光,集電能力低下,光起電力低下の3つに大別可能である.本稿では,さまざまな太陽電池モジュールの劣化現象をこれら3つの劣化要因に整理して紹介する.とりわけ,電圧誘起劣化については,最新の研究成果も含めて詳細に説明する.また,さまざまな負荷のうち,屋外で使用する太陽電池にとって避けることのできない紫外光照射が劣化現象に及ぼす影響についても紹介する.

最近の展望
  • 松井 卓矢
    2021 年 90 巻 6 号 p. 346-350
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2021/06/05
    ジャーナル 認証あり

    高効率な結晶シリコン太陽電池を製造する技術として,シリコンの表面欠陥を不活性化するパッシベーション機能と,電子または正孔の一方を選択的に取り出す機能を併せもつ「キャリヤ選択性パッシベーティングコンタクト(Carrier Selective Passivating Contact)」が注目されている.特に,既存技術で用いられているアモルファスシリコンなどの材料を,より低コストで光学的に透明な材料に置き換えることを目指した研究が繰り広げられている.本研究では,結晶シリコンに原子層堆積法で製膜した酸化チタン(厚さ:約5nm)が良好な表面パッシベーションを実現しつつ,キャリヤ選択性を制御できることを見いだし,太陽電池応用を目指した研究を行ってきた.従来,酸化チタンはさまざまな半導体や太陽電池材料に対して電子選択性コンタクト(負極)として働くことが知られてきた材料であるが,製膜条件やポスト処理によりシリコンから正孔を選択的かつ効率的に取り出すことに成功し,20%を超える変換効率を実証した.今回開発した技術により,結晶シリコン太陽電池に用いられてきた従来の正極材料に優(まさ)る性能を低コストな材料・プロセスで得られる可能性があり,高効率で低コストな太陽電池の実現につながることが期待される.

研究紹介
  • 大島 武
    2021 年 90 巻 6 号 p. 351-354
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2021/06/05
    ジャーナル 認証あり

    サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合したSociety 5.0ではIoTで全ての人とモノが自由につながり,さまざまな知識や情報が共有される.この達成には,ばく大な量のデータを安全に通信し,高速処理する技術の開発が不可欠であり,エレクトロニクスを中心とした既存技術を凌駕(りょうが)する技術の創出が必要となる.量子コンピュータや量子暗号通信といった量子技術はその解決策として大いに期待され,実現に向け,量子ビットや量子センサの研究が世界的に活発に行われている.ワイドバンドギャップ半導体中に存在する単一光子源として振る舞う結晶欠陥は,その候補の1つである.本稿ではワイドバンドギャップ半導体の1つである炭化ケイ素(SiC)に着目し,単一光子源として振る舞う欠陥の種類や特徴,陽子線描画技術(PBW)といった放射線を活用した単一光子源の生成方法,およびデバイス化へ向けた研究を紹介する.

  • 藤田 和上
    2021 年 90 巻 6 号 p. 355-359
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2021/06/05
    ジャーナル 認証あり

    電磁波周波数0.1~10THz(波長30µm~3mm)に当たるテラヘルツ帯はイメージング,分光分析や超高速無線通信などさまざまな応用が期待されている.一方,この周波数帯は社会実装に向けたさまざまなキーコンポーネントが未成熟で,さらなる技術進展が必要である.中赤外量子カスケードレーザー(QCL)内の差周波発生を利用したテラヘルツ光源は現在,電流注入のみで室温動作する唯一の単一素子の半導体レーザー光源である.これまでに0.6~6THzの範囲で動作が実現されており,超広帯域コム動作や波長可変光源が実証されている.最近では,イメージングへの応用の基礎実験も始まっている.本稿では,これら差周波発生による室温QCL光源の高効率化・低周波数化を目指す取り組みやさまざまな応用へ向けた研究の進展を紹介する.

  • 西中 浩之
    2021 年 90 巻 6 号 p. 360-364
    発行日: 2021/06/05
    公開日: 2021/06/05
    ジャーナル 認証あり

    化合物半導体の中でも大きなバンドギャップを有する酸化ガリウムは,パワーデバイスや深紫外受光素子として研究が進んでいる.この酸化ガリウムは5つの結晶多形を有しており,そのうちβ相とα相に大きな注目が集まっているが,本稿では,そのほかのκ相とγ相にスポットを当てた.κ相は強誘電体特性を有しており,またγ相は5.8eVと大きなバンドギャップで格子整合しながら結晶成長が可能である.このκ相とγ相の結晶成長について,高品質化に向けて,化合物半導体の基礎である混晶と格子整合性という点に着目して紹介する.

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