イオン伝導体を,半導体・金属などの電子伝導体に接触させた界面には,固体デバイスでは困難な強電界の発生,高電荷蓄積が可能であり,その結果,超伝導を含む電界誘起電子相転移などの際立った電子機能が発現する.イオンの作る電位はこれまでもエレクトロニクスの中でも重要な役割を果たしてきたが,その枠を大きく超えるこのような概念は,イオントロニクスと呼ばれており,物性・機能の探索法として発展している.
外部・内部発光量子効率という指標および発光絶対量計測に注目し,エレクトロルミネセンス計測を用いて多接合太陽電池の各サブセルの諸性質を診断する実験と,サブセル材料品質を含むように拡張した詳細平衡理論による最適設計について解説する.
肌の外観は1人ずつ異なっており,その色や質感も多様である.肌の見た目は,肌内部の構造と色素の分布によって決まる.肌の内部構造と見え方の関係を,定量的に明らかにするための技術と解釈,分光断層画像の事例を紹介しながら,断層方向の画像を分光で扱うことにより得られる情報の価値について議論したい.
近年,シリコンやゲルマニウムに代表される実用半導体中に,電子のもつスピン機能を付加して新機能素子の実現を目指す「IV族スピントロニクス」技術が著しい進展をみせている.本稿では同技術の開発研究に関する最近のトピックスを紹介する.
ショウジョウバエの幼虫が細胞外に分泌し体表面を保護する粘性の細胞外物質(ECS)に電子線やプラズマを照射することで,高真空下でも乾燥することなく生きた状態で高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)観察が可能なことを見いだした.プラズマ照射によってECSが重合することでナノ薄膜が形成され,生体内部に含まれる気体や液体が保持されたためである.界面活性剤を生体表面に塗布しプラズマ重合したバイオミメティック・ECSでも生きたままでの高分解能SEM観察が可能となった.生きた状態でさまざまな生物の表面微細構造や,運動などの生態を直接観察できる「ナノスーツ法」を開発した.
フレキシブルな高分子フィルムの湾曲における疲労や破壊挙動の解明が近年,エレクトロニクスディスプレイ材料の開発で強く望まれている.フィルムがどのように曲がるかは一見簡単に思えるが,実は定量的な議論がなされていないのが現状である.本稿では,曲がるフィルムの表面歪みを簡便に定量解析する表面ラベルグレーティング法を紹介する.ソフトマターである高分子フィルムに特有な表面歪みを解き明かすことにより,今後材料開発の設計や分子設計に指針を与えると期待できる.
電気特性の精密な測定を行うためには,目的とする信号だけを捉えることが重要です.そのためには,ノイズを低減し,信号を増幅して測る必要があります.ここでは,微小な信号を測るために必要な機器類や,ノイズを低減させるためのフィルタ,グラウンド,配線方法などについて解説します.