He
+(1s), He
0(1s
2), He
*(ls 2s) を入射ビームとする二次元角度分解イオン散乱公光による筆者らの研究を中心にして,低エネルギー(200eV~2keV)のHe
+イオンと表面との電子交換の研究の現状を展望する. He
+イオンは表面で散乱される際に,表面近傍の電子をとらえて,きわめて高い確率で中性化されるので,これまで中性化の機構に主たる関心が向けられてきたが, He
+イオンが入射軌道で中性化されたあと,表面の原子と衝突する過程で再イオン化されるという現象がきわめて重要であることがわかった.また, He
+イオンの中性化機構としては,表面の仕事関数が著しく小さい場合を除き,オージェ機構が重要であることがわかった.
抄録全体を表示