これまで光の吸収現象は線形または飽和するとされてきたが,励起準位を吸収の下準位にして,その準位の電子密度を制御することによって負性の光入出力特性を有する負性非線形吸収効果が見い出された.この効果は最低数十nW/cm
2の低パワーで生じ,光論理回路を構築するのに必要不可欠な光インバーターが構成可能である.また,本効果はEr
3+イオンの内殻の光学遷移を用いていることから,母材としては結晶,ガラスおよび溶液においでも発現し,極低温から高温まで勤作する優れた特徴を有する.この報告では,本効果の実験およびレート方程式による数値解析よりそのメカニズムを明らかにし,応用および今後の展望を述べた.
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