鋼の機械的強度の推定は,平衡状態図による金属組織の予測,あるいは転位論に基づく強度の予測から可能ではあった.しかし,これらの予測は定性的であり,定量的な材質予測は,これまでは経験則に大きく依存していた.これに対して最近では,電算機利用の材質予測など,新しい手法が提案されている.このような材質予測手法は,材料設計のためにも応用できる.材料設計のあるべき姿は,強度・加工性・耐食性など多様な設定目標を同時に満足させるための,製造条件を導出することにあろう.このためには,鉄鋼のなかで進行するさまざまな界面反応を解明し,これを定式化することが必要となる.
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