応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
79 巻, 6 号
『応用物理』 第79巻 第6号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
企画の意図
総合報告
解説
  • 伊藤 良一, 茅根 直樹
    2010 年 79 巻 6 号 p. 496-501
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    半世紀にわたる半導体レーザーの歩みを概観した.半導体レーザーは各種レーザーの中で圧倒的にたくさん製造され,最も広い範囲に使われており,日本が研究・開発・生産で世界をリードし,半世紀にわたって技術が発展し続けている.

  • 田中 義人
    2010 年 79 巻 6 号 p. 502-507
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    X線自由電子レーザー(XFEL)はX線領域に至る極短波長レーザーを実現する光源として期待されている.今世紀に入り,共振器を用いずに高利得のシングルパス増幅で,ピークパワーの大きなパルスX線を発生させるための施設が,欧米ならびに日本で建設されるようになった.得られる光は自己増幅自発放射(SASE)光と呼ばれる.レーザー生誕後50年経った今,米国ではX線のSASE光の発生に成功し,日本でも建設の最終段階に入っている.さらに,FEL媒質に外部から種光を注入するなどし,縦モードが制御された「X線レーザー光」を発生させる方法が模索段階に入っている.本稿では,XFELの原理と方式を,その開発の世界の動向を交えながら紹介し,いよいよ現実のものとなるXFEL利用実験の展望に触れる.

  • 中沢 正隆
    2010 年 79 巻 6 号 p. 508-516
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    レーザーによる情報通信技術の発展,特に光ファイバー通信を中心に,ここ50年の発展を三つの世代に大別して概観する.第1世代は,1985年ごろまでの光ファイバーの低損失化・半導体レーザーの高性能化の時代である.いかにシリカファイバーが低損失化され,それとともに半導体レーザーの性能が向上していったかについて述べる.第2世代は2005年ごろまでのEDFAの出現とWDM技術による大容量化・長距離化の時代である.小型EDFAの出現はグローバルな高速ネットワークを実現したが,励起光源としての高出力InGaAsP半導体レーザーが重要な役割を果たしている.第3世代は2030年の情報通信を目指した多値コヒーレント伝送あるいは単一チャネルテラビット伝送である.光のコヒーレンス性と超高速性を極限まで駆使することにより,シャノンリミットと呼ばれる情報通信の限界に向けての研究が始まっている.そこで最後に周波数安定化レーザーとそれを用いたコヒーレント伝送の研究状況を述べる.

  • 山川 考一
    2010 年 79 巻 6 号 p. 517-523
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    ペタワットレーザーを微小領域に集光することにより,超強電磁場,超高圧,超高密度などの極限状態が実現でき,相対論光学,慣性核融合から医療,産業分野まで幅広い応用が期待されている.本稿では,世界に先駆けて開発に成功したペタワットチタンサファイアレーザーシステムを中心に,極限的な光強度を達成するための数々の要素技術,および現在世界各国で進めてられているペタワットあるいはそれ以上の光強度を目指したレーザー開発の現状について紹介したい.

  • 伊藤 弘昌
    2010 年 79 巻 6 号 p. 524-529
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    1960年のレーザー誕生は,マイクロ波帯での誘導放出によるメーザーから展開され,それまでのコヒーレント電磁波の最高周波数であったGHz帯から一挙に数百THz帯の光波へとジャンプして実現した.取り残されたその間の周波数帯は,未踏周波数領域として長い間あまり顧みられてこなかった.しかしレーザー実現直後からこの領域への挑戦はいろいろと続けられていた.近年,いろいろな手法によるTHz波源の高度化とその利用の研究が活発化し,大きな進展を遂げている.テラヘルツ波光源開発の歩みと今後について述べる.

  • ―究極のナノレーザーと大面積コヒーレントレーザー―
    野田 進
    2010 年 79 巻 6 号 p. 530-536
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    フォトニック結晶は,さまざまな光制御を可能にする光ナノ構造として近年注目を集めている.本稿前半では,フォトニックバンドギャップ効果と,光ナノ共振器による強い光閉じ込め効果を用いた究極のナノレーザー実現に向けた研究現状を紹介する.後半では,ナノレーザーと対極に位置する,バンド端効果を利用した大面積コヒーレントフォトニック結晶レーザーについて,その研究現状を紹介し,高出力動作や,さまざまなビームパターンの生成,青紫色領域での面発光レーザー動作など,興味深い特性が得られることを示す.

最近の展望
研究紹介
基礎講座
  • 三沢 和彦
    2010 年 79 巻 6 号 p. 551-555
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    本稿では,「温度とは何か」について,エネルギーおよびエントロピーという二つの観点から,整理して説明する.まず,エネルギーの観点からは,温度とは,「集団を構成する粒子1個当たりの平均エネルギーに対応するもの」と表現できる.しかし,温度の異なる二つの集団を熱的に接触させたときに,どちら向きにエネルギーが移動するのかを決めることはできない.そこで,エントロピーの観点から,温度とは,「最も観測される可能性の高い状態に系が推移していく様子を量的に示す指標である」という理解が本質的に重要である.

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