励起子は結晶内の集団励起であるので,大きい遷移の双極子モーメントをもつ.三次元の結晶においては,励起子と電磁波との相互作用の結果,その混成波であるポラリトンを形成する.そのため,励起子準位に共鳴するような光によって励起されたポラリトンは結晶内に長時間閉じ込められ,その応答は遅くなる.低次元の結晶,例えば半導体微結晶中や二次元系の励起子は,その大きい遷移の双極子モーメントを有効に生かし,超放射によって速い応答が可能になる.さらに,大きい遷移の双極子モーメントをもつ励起子を共鳴的に励起するときには,緩和と励起子間の相互作用が,特に低次元系では有効に,励起子を調和振動子からずらせて,メゾスコピックに,または巨視的に増大した3次の非線形分極率X
(3) (ω -ω, ω, -ω)をもたらす.これらの理論的背景と,関連する実験結果を紹介する.
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