最近,半導体微細加工技術の進展に伴い,量子井戸構造のみならず,量子井戸細線や量子井戸箱を作製する試みが,いくつかの研究機関で開始されている.半導体量子井戸箱構造の概念は,1982年に荒川と榊によって,レーザーへの応用を目的として提案されたものである.本小論では,量子井戸箱構造の導入による,半導体レーザーの高性能化の可能性について議論し,達しうる特性の限界を明らかにするとともに,乗り越えるべき問題点について論じている.その結果,活性層内の量子井戸箱の数を適切に選ぶことにより,しきい値電流,変調帯域幅,雑音特性が,大幅に改善される可能性があることが明らかになった.また,多数の量子井戸箱を均一に作製することの重用性を指摘した.
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