203Hgで標識した塩化第二水銀 (MC) , 塩化フェニル水銀 (PhMC) , 塩化エチル水銀 (EtMC) , 塩化-
n-ブチル水銀 (BuMC) を合成し, これを成熟マウスおよび妊娠マウスに投与し, 全身オートラジオグラム法によって, 水銀の生体内分布を比較検討した。4種の水銀化合物に共通して, 腎臓皮質に著しい蓄積が認められた。MCとPhMCは類似した体内分布を示し, 主として腎臓に蓄積し, 腎臓以外の諸臓器への蓄積は少なかった。EtMCとBuMCは類似した体内分布を示し, 腎臓とともに, 肝臓, 肺臓, 筋肉などにも顕著な蓄積がみられた。水銀化合物の種類による胎盤通過性はEtMC≧BuMC>>PhMC≧MCの順であると推定される。胎盤を通過した水銀化合物は胎児の中枢神経系にも著明に取り込まれた。
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