RADIOISOTOPES
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53 巻, 8 号
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  • 上松 和義, 戸田 健司, 佐藤 峰夫
    2004 年 53 巻 8 号 p. 435-443
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    1100℃までの温度範囲で熱処理を行ったシリカゲル及び多孔質ガラスを吸着剤に用いて, トリチウム水の吸着濃縮を行った。トリチウム水は通常の水に比べ強く吸着していることがわかった。トリチウム分配係数は, 多孔質ガラスでは熱処理温度の上昇と共に低下する傾向が見られたのに対し, シリカゲルでは逆に, 900℃以上で急激に上昇し, 1100℃熱処理では1.38と高い値を示した。熱処理後のシリカゲルには孤立型シラノール基が形成されていることがわかった。孤立型シラノール基に吸着したヒドロキシル基あるいは水分子は互いに水素結合することが困難であるため, トリチウムの質量効果が大きく現れたものと推察された。
  • 白川 芳幸
    2004 年 53 巻 8 号 p. 445-450
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    放射性物質や汚染の存在位置を遠隔で探査するためにはγ線の入射する方向を知る必要がある。この要求に応えるため, 積極的に入射方向感度を高めた新型の検出器が開発された。この検出器は, 3種類のシンチレータと光電子増倍管より構成される。シンチレータの種類は, NaI (Tl) , CsI (Tl) , BGOである。それぞれのシンチレータは120度の扇形をしている。3種類のシンチレータを光学的に結合して一つの円柱形シンチレータを作る。γ線は検出器中のそれぞれのシンチレータに直線的な経路で入射し, そして経路の長さは検出器に対する方向によって変化する。各シンチレータにおける光電効果を生じる確率も入射方向によって変化する。それゆえ, 多重波高分析器で得られたスペクトルに観察される三つのピークの計数も方向に依存する。各シンチレータに対応したピーク計数と方向に関する応答曲線が, 137Csを用いた実験によって得られた。これらの応答曲線は入射方向0~360度の全範囲で感度を有することが明らかになった。このことによって, 提案した検出器による入射方向の識別の可能性が示された。
  • 川口 俊郎, 的場 優
    2004 年 53 巻 8 号 p. 451-459
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    磁気浮上電極電離箱を用いた低レベル放射線測定のための放射線自動測定システムを開発し, バックグラウンド及びKClのγ線の線量率を測定した。バックグラウンドの測定では, このシステムは高感度でありかつ長期の測定においても信頼性が高いことがわかった。一方KClのγ線の測定では, このシステムは, これまでの電離箱では測定できない低レベル放射線の線量を測定できることがわかった。このシステムの検出可能限界は1時間測定において電離電流でおよそ2.3×10-17Aであり, 吸収線量率及び線量当量率に換算すると各々およそ2.4nGy/h, 0.0024μSv/hである。この測定システムは空間線量率測定のためのエリアモニタとして有用である。
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