いろいろな油性汚染物と共存するイオン性ラジオアイソトープ (
60Co,
32P,
131I) をモメン布から除染するときの除去効果を, いろいろな除染剤について比較検討した。非極性炭化水素と共存する
60Coの除去は, 油-RIの順に汚染したもののほうが, RI-油の順に汚染したものよりもとれやすい。これに反し, 油がオクタデカノールー1やトリパルミチンのときは, RI-油の順に汚染したもののほうがとれやすい。
モメンの
60Coによる汚染機構はイオン的な相互作用によるものがかなりあるらしく, このため, 同位体交換や, キレート形成剤がかなり有効な除染方法となる。洗剤による除染は, 臨界ミセル濃度以下ではあまり効果がないが, これ以上の濃度では非常に有効で, とくに無機塩の添加は, さらに除染効果を増大させる。これは無機塩のビルダー効果でミセル形成が促進されるとともに, 無機塩それ自身による
60Coとのイオン交換が寄与したものと思われる。
これらの結果に対し,
32Pや
131Iのようなアニオン性アイソトープによる汚染は非常にとれやすく, 水, 洗剤水溶液, あるいは塩類水溶液のどれでも簡単にとれる。これは,
60Coの場合とちがって, これらアニオン性アイソトープがモメンと特別な相互作用をしていないためと思われる。
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