ラチローゲン, たとえばaminoacetonitrile (AAN) はラチリスムとよばれる間葉系組織の異常をおこすとともに, 肝壊死を防御し, 肝線維化を抑制することが知られている。この作用機序を明らかにする目的で,
3H標識AANおよびその誘導体である
3H標識N (N-
p-carboxyphenylglycyl) -aminoacetonitrile (
p-CPGAAN) をダイコクネズミの腹腔内に投与し, その生体内ならびに肝内分布について検討した。
まず
3H標識AANおよび
3H標識
p-CPGAANの生体内分布について観察すると, 各臓器組織とも, 投与後時間の経過とともに放射能は漸次減少するが, とくに肝臓および腎臓に多く分布し臓器単位重量あたりの比放射能はいずれの時間においても血中より高い値を示した。その他の臓器はいずれも低い比放射能を示したが, ただ注射後早期では, AANは関節, 筋肉および心臓に, また
p-CPGAANは皮ふおよび心臓にやや多く分布する傾向がみられた。注射24時間後には, いずれの臓器もほぼ同様の割合に減少し, とくにある臓器に選択的に多く残存する所見は得られなかった。
また腹腔内投与1時間後の肝臓について, 放射能の肝内分布をみてみると,
3H標識AANおよび3H標識
p-CPGAANとも大体同様で, 上澄画分に最も多く, ついでミトコンドリア画分, ミクロゾーム画分および核画分の順であった。ただAANは
p-CPGAANに比し, 顆粒画分により多く分布することが認められた。
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