1938年, S.V.Raghava RaoはHgXSCN (X=ハロゲン) 結晶がホトトロピーの性質をもっていることを報告した。1955年, 著者らはそのホトトロピーの現象の機構はHgI
2・2HgSの示すホトトロピーの現象の機構と同一であることを報告した。しかし, 結晶中のS, IおよびC原子が日光に照射されたとき, いかなる挙動を示すかは知ることができなかった。この報告の目的は, RI追跡子を用いてその挙動を明白にすることにある。得られた結果によれば, S
2-またはI
-イオンに属する電子が光を吸収すると, 励起状態にまで活性化され, 結晶中には中性のS原子およびI原子を残すことになる。これら原子は熱拡散して結晶表面に達し, そこから大気中へ逃げさる。
14C原子は逃げない。S原子のほうがIやC原子より光に敏感である。
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