個体発生過程に対する放射線の影響を調べるため, 孵化鶏卵にX線1回照射を行い, 照射卵齢および線量により致死効果がどのように変るかをみた。
総線量1000r, 750r, 500rおよび250rを4~16日卵に照射し, へい死または孵化するまで孵卵を続け, そののち開卵剖検して肉眼的変化を調べた。
孵化率は一般に照射線量が大きいほど, また, 照射卵齢が若いほど低い。
へい死卵を便宜上, 照射後へい死する時期により, 24時間内にへい死する急性死型, 以後19日卵齢に至る間にへい死する遅延死型および死籠の3群に大別すると, 急性死型では出血が, 遅延死型では浮腫様変化が特徴的である。
孵化雛の外形および剖検上の肉眼所見はほとんど異常がない。へい死卵には四肢, 脳, 眼球の出血 (発生初期の胎児) , 皮膚, 羽毛の出血 (発生後期の胎児) , 皮下織の浮腫様変化, 脾臓の倭小, 発育不良, 嘴および趾の奇形などが認められた。
8~10日卵は急性死型が多くKarnofsky et al., Boland, 御厨らの知見に一致する。また, 奇形, 発育不良は5~7日卵にとくに高率に発生する。
終りに臨み終始懇切な指導を戴いた東大山本教授, 種々援助を戴いた石田助教授並びに教室員諸氏, 伝研藤原氏, X線装置の使用にご便宜を戴いた東大臼井助教授並びに教室員諸氏に深謝致します。
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