化石骨試料中の広範囲に及ぶ平均ウラン含量の測定を簡便に行うため, フィッショントラック法が検討された。標準試料として, シリカゲル粉末に既知量ウランを添加したものを使用した。標準試料と化石骨粉末試料を白雲母片に密着した状態で原子炉中性子照射し, 白雲母片をフッ化水素酸でエッチング処理することにより, 現出するフィッショントラックを光学顕微鏡で計数した。その結果, トラック密度が5×10
5cm
-2以上では, トラックの重なりによる数え落としが生じ, 透過型顕微鏡観察での限界が確認された。より高密度トラックの試料を計数するために, 白雲母表面を真空蒸着法により金の薄膜でおおい, 反射型顕微鏡で観察したところ, 5×10
7cm
-2までもトラックの重なりを補正しつつ計数することが可能であることが分かった。標準試料, 化石骨試料から得た白雲母を, ここで開発した反射型顕微鏡観察法を適応してトラック密度を得, かつ試料のマトリックス成分による補正を施したうえで, 実験的なウラン含量を求め得た。化石骨試料のウラン含量は, 30~460ppmであった。
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