肝SPECT (single photon emission computed tomography, 単一光子放射形コンピュータ断層撮影法) イメージのSOL (space occupying lesion, 占拠性病変) 検出能を客観的, 定量的に評価するため, SOL診断のしやすさの程度が異なる症例群を対象として, まずplanar scintigram (PS) 単独で, 次にPSにSPECTを追加してSOLの読影診断を行ったとき (PS+SPECT) の有病正診率 (true positive, TP) と無病誤診率 (false positive, FP) を計算した。また, 診断のしやすさの関数としての受信者動作特性曲線 (receiver operating characteristic curve, ROC曲線) を推定し, その構造を解析した。その結果, SPECTはPS単独でSOLがあるかないか判断がつきかねるときにFPを下げ, TPを向上させる効果が大きいこと, PSでSOLのないことがかなり強く確信されたときはSPECT情報を過大評価するとFPが増えること, SPECTはSOLが左葉にある症例では見逃す傾向があること等を明らかにした。これよりSPECTを効果的に利用するための読影基準についていくつかの提案を行った。
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