原子力発電所周辺の環境放射線モニタリングは, 発電所からの放射線及び放射性物質の漏洩を監視するために重要である。通常に運転されている原子力発電所からの放射線等の漏洩はほとんど観察されないので, 環境放射線には, 宇宙線, 大地からの放射線ラドン及びその娘核種からの放射線が主に関わっている。著者らは, 静岡県の浜岡原子力発電所周辺における空間線量率の季節変動と気象条件による変動について解析を行った。晴天時の空間線量率は, ラドン娘核種濃度の変動によって, 夏季に低くなる傾向があったが, 冬季に特に高くなる傾向は観察されなかった。また, 空間線量率の季節変動を, 宇宙線, 大地からの放射線, 地表付近のラドン娘核種によるγ線, 測定地点の上方に拡散したラドン娘核種によるγ線及び, 測定地点から離れた地域で発生し, 風によって運ばれたラドン娘核種によるγ線の5成分に分け, 気象条件との関連を検討した。
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