通常は腎から排出される血管造影剤の結腸内排出像を, X線写真上で認めたので, 静注された血管造影剤の体内動態, とくにその代償性排出経路を,
131I-sodium iothalamateのラットへの投与実験から検索してみた。
1) 静注された血管造影剤は大量に腎に集まり, 2時間以内に排出された。2) 甲状腺への分布は少なく, 造影剤が無機ヨウ化物に分解しないことが示された。3) 正常な場合にも消化管粘膜からの造影剤排出がみられ, とくにそれは胃粘膜で著しかった。
腎障害のさいの血管造影剤の代償性排出経路としては, 肝が有力であろう。しかし, 正常でも少量の造影剤排出がある消化管粘膜は, 二次的な代償性排出経路としての位置を占めうるものと考えられた。
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