海産生物中のδ
15Nへの成長に伴う影響に関しての知見は少ない。日本沿岸域で採取された26種の魚類中のδ
15Nとこれら魚類試料の胃内容物組成を調べ, 魚類の成長と成長に伴う餌生物種の変化がδ
15Nにどのような影響を与えるかを調べた。主に大型の魚類を摂餌している2種中のδ
15Nと主に小型の魚類を摂餌している6種中のδ
15Nはそれぞれ14.5±1.0‰と12.8±0.7‰であった。主にエビ類やカニ類等大型甲殻類を摂餌している5種, 動物プランクトンを主に摂餌している2種そして主に多毛類等のマクロベントスを摂餌している3種中のδ
15Nはそれぞれ13.0±0.7, 9.7±0.9と12.2±1.2‰であった。魚類および大型甲殻類を主に摂餌している高次栄養段階にある魚類中のδ
15Nは, 動物プランクトンを主に摂餌している魚類中より約3-5‰高かった。成長に伴いその摂餌生物種をより栄養段階が高い生物へと変化させる4種中の1種 (マダラ) では有意なδ
15Nの増加が見られたが, 残りの種では明確な増加傾向は見られなかった。
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