RADIOISOTOPES

原著

安定ヨウ素剤投与時期の¹³¹I甲状腺摂取率抑制効果の評価～体内動態モデルによる日本人を対象とした計算～

谷幸太郎, 栗原治, 小佐古敏荘

2014 年 63 巻 10 号 p. 461-469
発行日: 2014/10/15
公開日: 2014/10/29

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.63.461

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

体内に摂取した放射性ヨウ素の甲状腺への摂取率は，安定ヨウ素剤の投与によって抑制することができる。本論文では，放射性ヨウ素摂取時及び安定ヨウ素剤投与時の体内動態モデルを使用し，日本人を対象とした¹³¹Iの急性吸入摂取に対する甲状腺残留率を解析した。安定ヨウ素剤投与時の解析にあたっては，安定ヨウ素を過剰に摂取した場合に一時的に甲状腺ホルモンの合成が阻害されるWolff-Chaikoff効果の影響を新たに考慮した。解析した安定ヨウ素剤投与の有無に対する甲状腺残留率を比較することにより，¹³¹I甲状腺摂取率抑制効果を評価した。その結果，抑制効果は2日前の投与で50％，1日前から直前までの投与で80％以上であった。一方，¹³¹Iを摂取した後に遅れて安定ヨウ素剤を投与した場合には，抑制効果は急激に減少し，12時間後で20％，1日後で7％未満であった。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (5587K)

資料

霧島山の湧水中ラドン濃度とその季節変化について

小野昌彦, 井手淨, 嶋田純

2014 年 63 巻 10 号 p. 471-479
発行日: 2014/10/15
公開日: 2014/10/29

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.63.471

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

霧島山に分布する湧水中のラドン濃度を測定し，その空間分布及び季節変化について検討を行った。ラドン濃度が高い湧水は標高160～482m，761～1063mに分布し，中期～後期更新世の火山岩類で多く見られた。7地点の湧水でラドン濃度の季節変化が認められ，その要因について検討した結果，降雨浸透や火山ガスの影響ではなく，湧出点の近傍における地下水の流動状況の変化が影響している可能性が示唆された。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (5466K)
芝地における放射性セシウムの蓄積状況と経時変化

井上智博, 市川有二郎, 内藤季和, 高橋良彦

2014 年 63 巻 10 号 p. 481-488
発行日: 2014/10/15
公開日: 2014/10/29

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.63.481

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

本調査は，千葉県立柏の葉公園内の野球場の芝地において，線量率と芝・土壌中放射性セシウム濃度の経時変化について解析した。採取した芝と土壌を別々に分離して放射性セシウム濃度を定量した結果，全ての調査期間においてサッチ層(芝の根部周辺に位置する芝の刈りかすや枯れた芝の堆積物)に，その下に位置する土壌よりも放射性セシウムがより多く蓄積していることが確認された。芝の深刈りを地表面から20mm深さで均一に行い，サッチ層を取り除いたことで除染効果が得られた。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (4859K)

連載講座

中性子散乱による原子・分子のダイナミクスの観測

III-3　金属中の水素のダイナミクス

大友季哉, 池田一貴

2014 年 63 巻 10 号 p. 489-500
発行日: 2014/10/15
公開日: 2014/10/29

DOIhttps://doi.org/10.3769/radioisotopes.63.489

ジャーナルオープンアクセス

抄録を表示する抄録を非表示にする

中性子は，物質中，とくに金属中の水素を高い精度で観測可能なプローブである。イオン結合，共有結合，金属結合の全てを網羅する金属水素化物は，多岐にわたる物性や機能を発現する。水素原子は，波動関数の広がりや振動エネルギー準位の間隔が大きいため，水素のダイナミクスの観測は物性や機能の理解に不可欠である。ランタノイドを含む遷移金属を母体とする金属水素化物を主として，中性子による金属中の水素のダイナミクス観測について概説する。

抄録全体を表示

PDF形式でダウンロード (6968K)

J-STAGEへの登録はこちら（無料）