スーパーカミオカンデ実験の研究目的の一つは太陽ニュートリノ観測である。この観測ではバックグラウンドとしてラドン (
222Rn) が大きく寄与しており, 純水中のラドン濃度を5mBq/m
3程度まで低減することが必要不可欠である。本研究ではスーパーカミオカンデにおける極低ラドン濃度監視のために, PINフォトダイオードを用いた静電捕集型の空気中ラドン検出器の開発を行った。この検出器の印加電圧特性と湿度特性を調べるための校正実験システムを製作してラドン濃度校正定数を求めた。その結果, 検出効率は, 絶対湿度1.6g/m
3以下では絶対湿度に顕著に依存しており, 1.6g/m
3以上では一定の値を示すことがわかった。また, 絶対湿度0.08g/m
3における
214Poの濃度校正定数は1.8±0.1 (count/d) / (mBq/m
3) が得られた。この値とバックグラウンド値23.0±0.4count/dから, この検出器の検出限界値を求めると13mBq/m
3となった。
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