電子スピン共鳴法 (ESR) を用いて, γ線照射小麦粉中のラジカル種の解析を行った。ESR信号スペクトル挙動から三つの信号を得た。g=2.0を中心とする6本線と, 同じg値の鋭い1本線信号, 更にg=2近傍の幅広い信号である。第1の信号は超微細結合定数が約7.4mTであることから, Mn
2+と同定された。2番目の信号は有機フリーラジカルである。照射処理によって3番目の信号が明瞭に検出できた。ESRマイクロ波強度の遂次飽和曲線をとるとこれらのラジカルが全く異なる緩和現象を示すことがわかった。これらより照射された小麦粉中には3種類の独立なラジカル種が存在することがわかった。微細粒子による異方性がESR信号に発現した。これは小麦粉中にかなりの大きさの結晶構造が存在することによる。
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