本研究の目的は、dedicated breast PET(db-PET)が乳がんの診断に有効であるか調査することである。NEMA NU-4 2008ファントムを使用してdb-PETの画像再構成パラメータを最適化した。75名の乳がん症例において、全身用PET/CT装置によって得られたWB-PET画像とdb-PET画像を比較検討した。
db-PETの定量性および検出能は、WB-PETと比較して統計学的に有意に改善し、乳がんの診断能向上に有効であることが明らかとなった。
高濃度なリン酸緩衝液中でリゾチームを高容量に吸着する弱酸性カチオン交換繊維を作製するために,放射線グラフト重合法を適用して,ナイロン-6繊維へアクリル酸をグラフト重合した。得られた弱酸性カチオン交換繊維をカラムへ充填し,50~250 mMリン酸緩衝液(pH 6.0)に溶かしたリゾチームを空間速度20 h−1で流通し,動的吸着容量(DBC)を測定した。市販の弱酸性カチオン交換ビーズ(CM Sepharose® Fast Flow, GE Healthcare製)充填カラムのDBCは,緩衝液濃度の増大に伴って88から9 mg/mL-bedに減少した。一方,弱酸性カチオン交換繊維充填カラムのDBCは,緩衝液濃度50から200 mMの範囲で一定の値(200 mg/mL-bed)を示した。
市販の汎用パーツを用いた自作も可能な溜め池底質用放射性セシウム鉛直分布測定器を紹介する。この装置は複数のγ線センサーで底質内のγ線量鉛直分布を計測し,最大エントロピー法で放射性セシウム濃度に変換する。福島県内の溜め池で行った性能試験では,10分間の測定でコアサンプリングと同等の鉛直分布が得られた。本装置の測定誤差や一般土壌・容器等への適用についても考察した。
日本アイソトープ協会では1982年から5年ごとに専門委員会を設けて全国核医学診療実態調査を行っており,第8回調査を2017年6月に行った。回答回収率は90%超であった。年間推定件数は単光子放出核種を用いた核医学検査が前回より5.7%減少した一方で,PET検査は約24.5%増加した。この結果,核医学検査総数は4.1%増加した。非密封RIを用いた核医学治療は223Ra治療開始と甲状腺癌治療の増加により全体で34.1%増加した。近年核医学診療の意義が変化していることが示された。