放射性廃棄物ドラム缶の分類に対し,機械学習法の一つであるランダムフォレスト法が適用できるか検討した。ウランの起源が天然または回収燃料かで分類された954点のドラム缶のγ線スペクトルデータを利用した。300点を訓練データ用にとりわけ,残りの654点のスペクトルデータを用いて,ランダムフォレストの分類の正答率を評価した。カウント数の対数の差分値をとる前処理を行う場合,ランダムフォレスト法で654点を正確に分類できた。
天然核種40Kを含むズイキの葉柄部の皮をはぎ,乾燥,粉末化して,圧縮成形法を適用した。でき上がったディスク状ズイキ線源10個の重量,直径,厚さ,1分間計数(GMサーベイメータで主に40K由来のβ線を測定)の平均値(標準偏差)は15.1(0.03) g, 9.98(0.1) mm, 35.2(0.01) mm, 163.4(10.5) cpmであった。また測定試験により,ズイキ線源は放射線防護の3原則と,放射線計数の統計的変動に関する測定実習に使用できることがわかった。
宮城県南部地域の子どもを対象とした平成25年4, 5月から約1年間の光刺激ルミネッセンス線量計を用いた被ばく線量調査結果を報告する。本報では第1報での丸森町,白石市越河に加えて,角田市と大河原町での調査も行った。被ばく線量に地域による差は認められなかった。1年間を通じて線量計を良好に装着していた99人について,最高値は年1.10 mSv(自然放射線からの寄与を含む。)であり,追加被ばく線量年1 mSvを超える子どもは1人も見られなかった。合わせて,屋内外滞在時間の調査結果も報告する。角田市,大河原町の子どもについて小学生で1日あたり20.8時間,保育所・児童センターの子どもで1日あたり20.5時間を屋内で過ごしており,この結果は,前報で報告した結果とほぼ同じ値であることが示された。
2008~2013年度にかけて,TLDを用いて県内7か所の空間放射線量を測定した。年間空間放射線量は,2008年度は0.40~0.69 mGy/年及び2009年度は0.40~0.68 mGy/年であり,2007年度以前の値と同程度であった。2010年度からは測定地点の変更のあった1か所を除く全ての地点で増加がみられ,2011年度に最も高い値を示した。年間空間放射線量が増加した原因については,2011年3月11日に発生した福島原発事故の影響と推測された。
LHC(Large Hadron Collider)で2012年ヒッグス粒子が発見された。ヒッグス粒子の発見は,「標準理論」最後の未発見粒子が発見されたというだけの話ではない。真空の概念を変えるこの発見は,時空や真空への物理へとパラダイムシフトへの幕開けである。この新しいパラダイムでは,宇宙の暗黒物質や暗黒エネルギーの理解や,宇宙誕生の謎に迫ることが期待されている。本解説では,ヒッグス粒子の基礎と,実験でどのように発見したかを解説する。