原発性アルドステロン症の原因となる副腎腺腫の診断は,副腎
131Iアドステロールシンチグラフィでの左右副腎の描出パターンのみからでは,通常のシンチグラフィあるいはデキサメサゾン抑制副腎シンチグラフィにおいても難しい場合がある。通常のデキサメサゾン非抑制副腎シンチグラフィを定量的に評価し,アルドステロノーマの診断が可能であるかを検討した。片側副腎腺腫摘出術前にデキサメサゾン非抑制副腎シンチグラフィを行った原発性アルドステロン症16名,クッシング症候群6名,非症候性7名の3グループ計29名の患者を対象とした。摘出副腎腺腫の体積,
131Iアドステロールシンチグラフィでの集積率,副腎腺腫単位体積あたりの
131Iアドステロール集積率を3群間で比較した。副腎腺腫の体積は原発性アルドステロン症において他の2群より有意に小さかった(クッシング症候群p<0.01,非症候性p<0.01)。集積率に3群間で有意差はみられなかったが,単位体積あたりの集積率は原発性アルドステロン症において他の2群より有意に大きかった(クッシング症候群p<0.001,非症候性p<0.001)。通常のデキサメサゾン非抑制副腎シンチグラフィから得られる単位体積あたりの
131Iアドステロール集積率は,原発性アルドステロン症をクッシング症候群や非機能亢進性副腎腺腫と鑑別する上で有用であると思われる。
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