現在のところ, トリチウム取扱施設において室内空気中に放出されたトリチウムを回収するたあに, 加熱された貴金属触媒塔およびその後段の冷却された吸着塔で構成されるトリチウム回収装置が用いられている。しかしこの方式では, トリチウムと同時に空気中に含まれる大量の水蒸気も同時に回収されるため, 吸着塔が大きくなり, 触媒塔の加熱装置や吸着塔の冷却装置の故障の際には, トリチウムの回収性能が低下するなどの欠点がある。
本報告では, 冷却装置を設けない吸着塔と, その後段に加熱装置を設けない触媒塔により構成されたトリチウム回収システムを提案する。この方式では, 前置吸着塔において処理ガス中の水蒸気が, 触媒の酸化性能を阻害しない程度まで捕捉されることにより, 触媒の活性が維持される。またトリチウムが貴金属触媒の親水性担体に酸化された後に, 吸着や同位体交換反応によって, 入口ガスよりも高いT/H比で捕捉できる。
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