血清総鉄結合能の化学的測定用試薬を用い,
59Feを添加鉄のトレーサーとし, 簡便, かつ正確に血清不飽和鉄結合能を測定する法を検討した。すなわち一定量の塩化第二鉄液に
59Feを加え, 血清にふ置し, 鉄を飽和せしめ, 過剰の鉄を炭酸マグネシウムで沈殿し, その上澄みの
59Fe放射能を測定して, 不飽和鉄結合能を算出した。
また
59Feの使用により, 炭酸マグネシウム法一般に共通する問題点について検討した。
それらの結果から, 炭酸マグネシウム法は血清の鉄結合能の測定法として, 小さな問題点はあるが, 一般的にすぐれた方法であり, きわめて安定した値をあたえる。また
59Feをトレーサーとして使用することにより, 手技は簡便となり, また精度よく, 不飽和鉄結合能を測定しうる。本法によるUIBC値と化学的方法によるTIBC値より血清鉄値を引いた値はきわめてよく一致した。
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