RADIOISOTOPES
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60 巻, 4 号
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原著
  • 菊地 正博, 下山 雄平, 鵜飼 光子, 小林 泰彦
    2011 年 60 巻 4 号 p. 163-171
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/28
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,電子スピン共鳴(ESR)法を用いて,照射により生パパイヤに誘起されたラジカルの直接的検出を報告する。本法は,生鮮果実のラジカル測定で凍結乾燥処理を要しないため,これまでより迅速に検出できる。
    フィリピン産の生パパイヤをγ線照射し,その果肉と果皮を液体窒素温度(77K)でESR測定した。測定条件を最適化することで,生のパパイヤからg=2.000を中心とする1本線のメインピークと一対のサイドピークを検出することができた。更に,果肉の凍結乾燥検体のサイドピークでは,照射2週間後でも照射・非照射の識別が可能であった。
    したがって,照射された生鮮果実を対象としたESR法では,最初に,果肉を用いて液体窒素温度で測定して簡易判別を行い,次の段階では,凍結乾燥検体を用いて常温で判別する検知スキームが有効であると考えられる。
  • 亀谷 宏美, 鵜飼 光子
    2011 年 60 巻 4 号 p. 173-180
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/28
    ジャーナル オープンアクセス
    放射線照射唐辛子と,加工処理の異なる市販唐辛子をESRで解析した。加工処理は天日干し,機械的加工処理(加熱殺菌,粉末化など)である。一定量の試料で計測した。唐辛子のESRスペクトルはg=2.00の鋭い1本線信号が検出された。これは有機フリーラジカル由来の信号と考えられる。加熱処理のラジカル生成への関与は必ずしも大きくないと考えた。粉末化処理は唐辛子のラジカル生成に大きく関与していると考えた。放射線照射処理した試料ではESR信号強度は照射量が増すに従い増大した。粉末試料の信号強度と照射処理試料の信号強度とはほぼ同じ値を示した。放射線照射試料と非照射試料の緩和挙動と緩和時間(T1,T2)には差異があった。照射試料の緩和時間は非照射試料と比較し,T1は増え,T2は減少した。唐辛子は加工処理のうち,放射線照射処理と粉末化処理によるラジカル生成の影響が大きいことがわかった。
ノート
  • 湊 進
    2011 年 60 巻 4 号 p. 181-187
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/28
    ジャーナル オープンアクセス
    花崗岩類地帯における地表γ線線量率レベルの岩石学的特徴を理解するために岩石試料中のウラン,トリウム及びカリウム含有量から評価した空気吸収線量率(岩石線量率)とK2O含有量を比較した。線量率は岩石のK2O含有量が増えるに従って増加する傾向を示した。この傾向を定量的に解析するためにマグマの結晶分化モデルを適用した。次に土壌上での測定値(土壌線量率)と当該地の基盤岩石中のK2O含有量のデータを用意した。岩石線量率解析と比較することにより土壌線量率を岩石中のK2O含有量の関数として表現する半経験式を導いた。
資料
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