RADIOISOTOPES
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68 巻, 4 号
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特集
粒子ビームサイエンスの進歩と展望―HIMAC の成果を中心に―
1章 HIMAC における基礎科学研究
2章 【加速器と照射装置】重粒子線がん治療装置の研究開発
  • 山田 聰
    2019 年 68 巻 4 号 p. 163-167
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    重イオン加速器HIMACは国家プロジェクトである「対がん10ヵ年総合戦略」(1984–1993年)の一環として建設され,1993年に完成し,1994年から炭素イオンビームでのがん治療を開始した。この装置は重粒子線がん治療を目的とした医療用大型加速器として世界初のものである。装置完成後は治療のための性能向上や安定化に向けた研究が行われる一方,重粒子線がん治療の普及を目指して2001年からは重粒子線がん治療装置の小型化研究が行われた。その結果,群馬大学に小型の重粒子線治療装置が建設されたが,その後もこれをベースとした装置が佐賀や神奈川などに建設され,全国的な重粒子線治療の普及が進められている。これら医療用加速器は従来の高エネルギー加速器とは異なる視点で開発が進められ,独自の発展を遂げている。近年においては重粒子線がん治療の高精度化を目指し,3次元スキャニング照射法や超伝導小型回転ガントリーを含む次世代照射システムの研究開発が行われ,この分野の研究で世界をリードしてきた。本稿ではHIMACから始まった重粒子線がん治療装置の研究開発や,付随する装置の発展について紹介する。

  • 山田 聰, 北川 敦志, 野田 耕司
    2019 年 68 巻 4 号 p. 169-178
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    重粒子線がん治療装置(HIMAC)では1994年から炭素イオンビームを用いてがんの治療が開始されたが,装置自体は治療開始後も多くの改造・改良が行われてきた。本稿ではその中からイオン種の拡大など装置の利用効率向上のための開発研究や治療の高精度化など特徴的な加速器関連研究をいくつか取り上げて概説する。

  • 山田 聰, 岩田 佳之, 村松 正幸, 古川 卓司, 金澤 光隆, 小森 雅孝, 遊佐 顕, 取越 正己
    2019 年 68 巻 4 号 p. 179-195
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    HIMACで実施された臨床研究により炭素線を用いた治療の有用性が示された。この成果を国内外に普及させるために治療イオン種を炭素に限定することにより装置を小型化するための開発研究を行った。本稿では永久磁石を全面的に採用した小型イオン源の開発,特殊な収束方法を採用した線型加速器の開発,小型シンクロトロンの開発など加速器関連の研究開発を中心に述べる。

  • 白井 敏之, 古川 卓司, 岩田 佳之
    2019 年 68 巻 4 号 p. 197-206
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    放射線医学総合研究所(以下,放医研)において,これまでに実施された臨床研究により,炭素線を用いた治療の有用性が示されたが,さらなる治療成績の向上を目指すことは放医研の大事な使命である。そこで,放医研は2006年より腫瘍の呼吸性変動や日々の変動に対応可能な高速3次元スキャニング照射装置と,360度最適な方向から重粒子線を照射できる回転ガントリー装置を中心にした次世代重粒子線治療システムの開発研究を実施した。また,それに引き続き,量子メスと呼ばれる重粒子線治療装置の小型化・高度化研究を実施している。

3章 【放射線化学】放射線化学におけるHIMAC施設
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