水中の
222Rn濃度を指標とした下方流の解析に関する研究の対象は飽和流であった。しかしながら, 地下水面が深いとき, 浸透は不飽和流である。そこで, 本研究では土壌水の
222Rn濃度と飽和度の関係を提示し, 現地において地下水中の
222Rn濃度の垂直分布と水面の
222Rn濃度を測定した。その結果, 地下水面付近では不飽和流によって
222Rn濃度が低下していることを見いだした。さらに, 地下水面の
222Rn濃度変化から, 水田かんがい開始後の土壌水の押出し, かんがい期間中の不飽和浸透, 終了後の再配分等の不飽和流の存在を示すことができた。かんがい期と非かんがい期の
222Rn濃度から浸透流の飽和度は約50%と算出された。この値は上層と下層の透水性の差から妥当であると考えられた。これらの結果から, 提示した土壌水の
222Rn濃度と飽和度の関係が妥当であること, 地下水面の
222Rn濃度を指標とした手法は不飽和浸透流の実態を解析するのに有効であることが検証された。
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