RADIOISOTOPES
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60 巻, 9 号
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原著
  • 焦 玉栄, 石田 さゆり, 高田 佳代子, 今泉 洋, 狩野 直樹, 斎藤 正明
    2011 年 60 巻 9 号 p. 363-374
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル オープンアクセス
    水文学において,トレーサ技術は気団動態や汚染物質の輸送に関して最も効果的な方法の一つである。このトレーサ技術を用いて気団動態を観測するため,新潟市において,降水中のトリチウムの現地調査を行った。この試料水(降水)を蒸留・電解濃縮後,液体シンチレーションカウンタでトリチウム放射能を測定した。更に,その場所に到達した気団動態のパターンと結びつけるため,降水中の陽イオン(Na,K,Ca2+,Mg2+)濃度も測定した。以上から,次のことが明らかになった。
    (1)降水中のトリチウム放射能は,採水場所や季節に強く依存する。
    (2)台風による降水中の化学組成は,海洋性気団の特徴が強く見られる。
    (3)月間降水中のイオンは季節的変動が見られ,カルシウムイオン濃度とトリチウム放射能の季節的変動とはよく類似している。
    (4)後方流跡線解析法は,短期降水中のT放射能や各種イオンの動態を解析するのに有用である。
  • 真辺 健太郎, 遠藤 章
    2011 年 60 巻 9 号 p. 375-384
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル オープンアクセス
    改訂された放射性核種データICRP Publ.107(ICRP107)及び従来のデータICRP Publ.38(ICRP38)を使用し,放射性核種データの改訂が内部被ばく線量係数に及ぼす影響について調べた。ICRP107及びICRP38に基づく作業者の経口摂取に対する線量係数を計算した。計算は,内部被ばく線量計算コードDCALを使用し,774核種の876の化学形について行った。ICRP107に基づく線量係数が,ICRP38に基づく線量係数に比べて10%以上増加または減少した化学形の数は,それぞれ61及び28であった。経口摂取に対する線量係数が変化した主な原因は,先に報告した吸入摂取の場合と同様にエネルギーデータの変化であることがわかった。また,電子と光子のエネルギー割合,壊変様式及び半減期の変化も,線量係数の変化の原因であることも明らかになった。次に,経口摂取及び吸入摂取に対する線量係数が変化した程度と原因を比較した。その結果,電子と光子のエネルギー割合の変化は,吸入摂取に比べ経口摂取の方がより大きな影響を及ぼすことがわかった。一方,β線エネルギースペクトルの形状の変化は,吸入摂取に対する線量係数が変化した原因の一つであったが,経口摂取に対する線量係数には影響を及ぼさないことが明らかになった。
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