Ge (Li) 半導体検出器を利用した非破壊および破壊放射化分析法により, 玄米中のカドミウムならびにその他の微量元素の同時定量法を検討した。
玄米は熱中性子束1~2×10
12n・cm
-2・sec
-1で, 長寿命核種に対しては断続10時間, 短寿命核種に対しては10分間の照射を行なった。
破壊法では, 玄米の放射化分析にさいして最も妨害となる
24Na,
42Kおよび
82Brを除去するため, NaBrとKBrの混合粉末結晶を用いたカラム同位体交換法を検討し,
24Na,
42Kおよび大部分の
82Brが除去できることを確かめた。
これらの方法により, 東京都府中市内で産出された玄米の分析を行なった結果, 非破壊法ではカドミウム, クロム, マンガン, 亜鉛, アンチモン, ナトリウム, カリウム, 塩素および臭素を定量することができ, カラム同位体交換法を利用した破壊法では, 非破壊法で定量困難であった低濃度のカドミウム, 銅, ヒ素を検出することができた。
そして, これらの結果から, 数種類の玄米はカドミウムのみならずアンチモン, クロム, 臭素などによる汚染も明らかとなった。
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