著者らは,入手が困難である
28Mgを製造,精製し,イネの根によるMg吸収解析を行った。純アルミニウム箔に,
27Al(α,3p)
28Mgの核反応を試みて
28Mgを製造した。カラム精製を経た後,およそ1MBqのキャリアフリーの
28Mgを得ることができた。この放射性同位元素を用いてイネの根のMg吸収速度を算出した。すなわち,0.1mM及び5.0mMのMg濃度の溶液に
28Mgを加え,そこに根を15から30分間浸すことで
28Mgを吸収させた後,
28Mgを画像として検出した。得られた画像よりイネの根から吸収されたMg量を定量した結果,溶液が5.0mMの条件下におけるMg吸収速度は,0.1mMの場合よりも6から7倍大きいことがわかった。更に,溶液のMg濃度を0.025~10mMの9段階に設定したところ,溶液のMg濃度が低い時ほど根のMg吸収能力は高まった。以上から根は溶液のMg濃度が低い場合には,Mgを能動的に吸収する機構を有することが示された。
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