RADIOISOTOPES
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63 巻, 7 号
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技術報告
資料
  • 日本アイソトープ協会 医学・薬学部会 核医学イメージング・検査技術専門委員会
    2014 年 63 巻 7 号 p. 355-380
    発行日: 2014/07/15
    公開日: 2014/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    日本アイソトープ協会医学・薬学部会核医学イメージング・検査技術専門委員会は,核医学検査の安全向上を目的に,1986年から3年ごとの第10回定期調査を2013年に行った。
    全国の医療機関1279施設にアンケート調査票を送付し907施設(70.9%)から回答を得た。核医学検査従事者は総計5634人,うち医師1094人,診療放射線技師3371人,看護師692人,その他の職種(薬剤師を含む)477人であった。SPECT装置の保有状況は1087台,2検出器SPECT装置が809台(74.4%)であった。SPECT/CT複合機147台,一体型PET/CT複合機285台とそれぞれ前回調査より増加していた。ドーズキャリブレータは712台,ウェルカウンタは363台,サーベイメータは1226台であった。これら機器を1台以上保有する施設の全施設に対する割合は,それぞれ,66.0%,38.7%,72.4%であった。2及び3検出器型SPECTカメラ,SPECT/CT複合機,一体型PET/CT複合機では,日常点検実施率,メーカーによる定期点検実施率ともに90%を超えていたが,点検計画策定率は日常点検実施率に比べて低かった。放射線測定器の定期点検率は35.8~47.2%と低かった。事故例報告総数は91件,事故未然例は146件であった。
    事故例及び事故未然例の原因を分類したところ,いずれも「被検者自身の行動・体調等に関すること」が約4割を占めた。事故例及び事故未然例の防止対策で最も多かったのは「個人への注意・指導」で107件(42.6%),業務手順を変更した報告はその約4割だった。事故や事故未然例を体験しているにもかかわらず「対策なし」が26件(10.6%)だった。核医学技術者は,検出器・ガントリーと被検者との接触や安全機構,検査用ベッド(高さ,幅,転落等),被検者の不意の動き等に不安を感じており,安全管理の改善措置では,それらに対する対策が上位を占めた。
    核医学機器の故障,破損についての調査では,「回路系の故障」が最も多かった。今回は東日本大震災による被害を含めた自然災害による故障,破損について12件が報告された。メーカーに対する要望・意見では,約3割が「検査用ベッド関係」に対するものであった。
    本調査は,核医学検査を安全に施行するための調査であり,これらの意見を反映して更なる安全・安心な核医学検査を目指していかなければならない。
連載講座
中性子散乱による原子・分子のダイナミクスの観測
  • プロトン伝達
    福嶋 喜章, 藤田 悟
    2014 年 63 巻 7 号 p. 381-387
    発行日: 2014/07/15
    公開日: 2014/07/28
    ジャーナル オープンアクセス
    低運動量遷移(Q)領域での中性子準弾性散乱(QENS)で自己拡散に関係づけられる情報が,また高Q領域の実験からは局所的ジャンプ運動などの情報が得られる。無機酸化物,多孔質物質,有機高分子ゲル中では,共存する水分子に伴う並進運動,固体表面のトラップ位置間や水分子間のジャンプ等,多くの運動モードが組み合わされプロトンが移動する。QENSによりこれらの運動に対応したQ,エネルギー(ω)領域の有用な情報が得られる。しかし,QENSの情報は非常に幅広いスペクトルの,しかも多くの運動モードの重ね合わせとして観測される。したがって,信頼性のある解析結果を得るには高強度中性子を利用した高(Q,ω)分解能の実験と注意深い解析が必要とされる。
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