日本アイソトープ協会医学・薬学部会核医学イメージング・検査技術専門委員会は,核医学検査の安全向上を目的に,1986年から3年ごとの第10回定期調査を2013年に行った。
全国の医療機関1279施設にアンケート調査票を送付し907施設(70.9%)から回答を得た。核医学検査従事者は総計5634人,うち医師1094人,診療放射線技師3371人,看護師692人,その他の職種(薬剤師を含む)477人であった。SPECT装置の保有状況は1087台,2検出器SPECT装置が809台(74.4%)であった。SPECT/CT複合機147台,一体型PET/CT複合機285台とそれぞれ前回調査より増加していた。ドーズキャリブレータは712台,ウェルカウンタは363台,サーベイメータは1226台であった。これら機器を1台以上保有する施設の全施設に対する割合は,それぞれ,66.0%,38.7%,72.4%であった。2及び3検出器型SPECTカメラ,SPECT/CT複合機,一体型PET/CT複合機では,日常点検実施率,メーカーによる定期点検実施率ともに90%を超えていたが,点検計画策定率は日常点検実施率に比べて低かった。放射線測定器の定期点検率は35.8~47.2%と低かった。事故例報告総数は91件,事故未然例は146件であった。
事故例及び事故未然例の原因を分類したところ,いずれも「被検者自身の行動・体調等に関すること」が約4割を占めた。事故例及び事故未然例の防止対策で最も多かったのは「個人への注意・指導」で107件(42.6%),業務手順を変更した報告はその約4割だった。事故や事故未然例を体験しているにもかかわらず「対策なし」が26件(10.6%)だった。核医学技術者は,検出器・ガントリーと被検者との接触や安全機構,検査用ベッド(高さ,幅,転落等),被検者の不意の動き等に不安を感じており,安全管理の改善措置では,それらに対する対策が上位を占めた。
核医学機器の故障,破損についての調査では,「回路系の故障」が最も多かった。今回は東日本大震災による被害を含めた自然災害による故障,破損について12件が報告された。メーカーに対する要望・意見では,約3割が「検査用ベッド関係」に対するものであった。
本調査は,核医学検査を安全に施行するための調査であり,これらの意見を反映して更なる安全・安心な核医学検査を目指していかなければならない。
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