非破壊放射化分析法により, 多摩川の水源地帯とその下流から採取したヒゲナガカワトビケラの分析を行った。乾燥したヒゲナガカワトビケラは立教大学原子力研究所のTRIGA-II型原子炉で, 3分および12時間の照射を行った。そして20数元素の定量が可能であった。ヒゲナガカワトビケラの採取地点から採取した河川水の分析は筆者らの前報により処理した。
ヒゲナガカワトビケラ中のNa, K, Zn, Seは河川水中のこれら元素濃度に関係なく一定の値を示したのに対し, Mnは水源地帯とその下流で異なった値が得られ, 水質に影響されることを示した。一方, Al, Fe, Sc, V, As, Sbなどは広範囲な値が得られたが, これらは河川堆積物の取込みによる影響と考えられた。そしてV, As, Sbは下流よりも上流で高い濃度を示した。
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