131I-BSPによる肝機能検査法の簡約化を目的として体外計測により記録した血中放射能曲線ydを利用する方法を試み, 日常臨床検査法としての有用性について検討した。方法:
131I-BSPの1μCi/kgを静注し, その直後より15~20分間心臓部体外計測によりydを描記する。この曲線を縦軸 (Y) にactivityを, 横軸 (X) に時間 (分) をとった半対数グラフに転写, 作図する。ydは初期の急下降部 (B) と5分前後よりはじまる緩下降部 (A) との2つのcomponentに解析される。いま, yd後半部を補外してえたAの延長とYとの交点をA0 (零時濃度) とすると診断指標に選んだ血中半減時間t
1/2と血中停滞率.R (%) はつぎのごとくして求めることができる。すなわち, t
1/2はA
oが1/2A
oになるA上の時刻であり, R (%) はb
n/A
o×100である。ただし, b
nはA上の10または15分値である。結果: 健常成人11例から求めた正常値 (t
1/2) は7.2±1.6分, R
10 (%) は39.8±7.3%, R
15 (%) は25.3±6.7%である。一方, 肝疾患時には肝機能障害の程度に応じてt
1/2は延長し, R (%) は上昇した。また, 健常, 肝疾患の21例において同時施行したICG法と本法の10分, 15分停滞率とはよく相関した (r=0.85, 0.84) 。
体外計測を利用した本法は連続採血の要なく, 比較的簡単, 被検者に苦痛を与えず, 日常臨床検査法として定着すべき可能性のあることを示唆するものである。
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