富士火山1707年噴出物中の
238U‐
30Th‐
226Ra放射非平衡から,1707年の噴火活動におけるマグマ発生から噴出に至る時間を推定した。富士火山1707年噴出物中では,
230Th‐
226Ra間は,
230Thに比べて
226Raが多い
226Ra/
230Th>1の放射非平衡であった。噴出時の値に補正した
226Ra/
230Th放射能比と
238U/
230Th放射能比との間で,富士火山1707年噴出物のプロットが正の相関を示したことにより,1707年噴出物中の
238U‐
230Th‐
226Ra放射非平衡は,マグマ発生時に起こったものであると考えられる。富士火山1707年噴出物が
230Th‐
226Ra間の放射非平衡を保持していることより,1707年に噴出したマグマの発生から噴出までの時間は,玄武岩から安山岩までの結晶分化も含めて,8000年以内であると推定された。
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