安定同位体希釈分析により, 麻薬性鎮痛薬フェンタニル (FT) とその主代謝物であるNor-FTの尿中濃度を測定した。19個の重水素を標識したFT-
2H
19とFTは, 表面電離型イオン化検出器 (SID) 装備キャピラリGCにより分離測定可能であり, 尿中FTを0.4-40 ng/mlの範囲で再現性よく測定できた。Nor-FTは二級アミンでありSIDでは高感度検出ができないが, N-アルキル誘導体化により三級アミンとすることで高感度検出を試みた。3種類の誘導体を用い分離, 感度, 再現性から検討したところ, N-メチル誘導体が最適であった。尿中のNor-FTを10-400 ng/mlの範囲でNor-FT-
2H
10を用い誘導体化後測定したところ, 優れた直線性と良好な再現性が得られた。FT投与患者尿中のFTおよびNor-FTの測定を行ったところ, 生体内物質や併用薬物の影響を受けず正確な測定が可能であり, FTの体内動態解析に有用であると考えられる。
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