放射性コバルトと海水中に溶存しているグリシン, アラニンおよびアスパラギン酸との相互作用をキレックス100への吸着, ジチゾンによる溶媒抽出およびゲルろ過クロマトグラフィによって研究した。
キレックス100へのコバルトの分配係数は有機物質の存在しない場合でもエージングとともに徐々に減少したが, これらのアミノ酸の存在する場合にはいっそうの減少がみられた。樹脂への分配係数は約20日間で平衡状態になった。
ジチゾンによるコバルトの四塩化炭素への抽出もまたこれらのアミノ酸の存在によって阻害された。
アラニンおよびアスパラギン酸はキレックス100への吸着およびジチゾン抽出の両法において, 同じような阻害傾向を示したが, グリシンはキレックス100への吸着よりもジチゾン抽出を多く阻害した。
セファデックスG-10ゲルろ過クロマトグラフィによるコバルトの分画では, これらのアミノ酸と結合したコパルトの高分子種は数日間のエージングののちに出現し, その後低分子種の減少をともないながら増加した。
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