葉菜類に直接沈着した放射性物質濃度の減少の速さは,ウェザリング半減期(Tw)で推定できる。しかし実環境で得た葉菜類のTw値はこれまで報告がなかった。そこで我々は東京電力福島第一原子力発電所事故直後の2011年3–4月に測定したフキ及び厚労省の食品モニタリングで報告された野菜の131Iと放射性Cs濃度データから,Twを導出した。その結果,Twの幾何平均値は131Iが8.4 d, 放射性Csが7.6 dであり,核種間に有意差はなかった。
福島第一原発事故直後の葉菜類のウェザリング半減期(Tw)と比較するために,チェルノブイリ原発事故後に日本で測定された草本植物中の放射性核種濃度の文献データからTwを導出した。Twの幾何平均値は131Iが19.1 d, 137Csが18.4 dであり,核種間に有意差はなかった。福島第一原発事故後のTwは,チェルノブイリ原発事故後の日本のTwに比べて両核種とも有意に短かったが,ヨーロッパ諸国のTwとは同程度であった。