原子炉施設のみならず, 放射性同位元素や加速器を使用する施設においては, 安全上あるいは効率の良い研究作業や業務遂行のために, 遮蔽評価は欠かせない。遮蔽評価方法については, Sn法を中心とした輸送計算に基づく方法やモンテカルロ法がかなりの問題に対してその威力を発揮し, 遮蔽設計上欠くべからざる手段となっている。かたや, これらの手法に頼りすぎると, 遮蔽問題に対する実務的あるいは基本的な考察を行う機会が少なくなり, 非常に作業現場的な日常的実務問題の解決がおろそかになってしまうのではないだろうか。また, これらの数値計算を行う場合, 計算に必要な準備も大変であり, パラメータサーベイ的な予備評価に不便であるという側面もある。
近年, 中性子回折や中性子小角散乱などの研究が広まりつつあり, 中性子ラジオグラフィが中性子の工業利用として定着しつつある。このようななかで, 本来の中性子遮蔽計算上の問題としてだけではなく, 測定場におけるγ線の混在量を評価する上で, 熱中性子吸収時に発生する捕獲γ線線量の把握が必要になってくると考えられる。本論文では, このような必要性に対して, 解析手法に基づく比較的簡単な計算による捕獲γ線線量の評価法を紹介する。本論文の評価方法は, 従来より使われている手法を拡張したものであり, 以下においてはこの手法の導出を紹介する。本方法により得られた計算結果は, Sn法による計算あるいは測定値と比較を行い, その有効性を確認する。
抄録全体を表示